この世の果て   1994年(平成6年)       ドラマ傑作選

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砂田まりあ(鈴木保奈美)は、昼は郵便局で働き、夜はクラブのホステスをしている。


それは、目の不自由な妹・なな(桜井幸子)の手術費用を稼ぐためだった。


まりあはある日、目の前でひき逃げに遭い負傷した男・高村士郎(三上博史)を助ける。

士郎は世界的に有名なピアニストだった。


だが彼は、自分を「ピアノを弾く機械」のようだと感じ、現状に不満を持っていた。

そして記憶喪失になったふりをしてまりあと暮らし始める。





やがて、士郎の家族が居場所を突き止め、迎えに来る。

だが、まりあと離れたくない彼は、自分の手を傷つけ、自らピアニスト生命を断ってしまう。



天才ピアニストの士郎は、連れ戻しに来た妻の前で、自ら片手を切り裂きピアニスト生命を断つ。

だが、ピアノを弾くしか能のない男にロクな仕事はなく、自分に苛立ち、荒んでいく日々が続く。

やがて彼は、覚醒剤中毒となり、しまいにはヤクザに追われる身になってしまう。


一方、ヒロイン・まりあは、視力を失った妹・ななの手術代を捻出するために働いている。

失明したのは、自分を愛してくれない父を殺害するために、まりあが起こした火事が原因だった。



本作は「贖罪」をテーマとした作品である。

冷淡で投げやり、ときにひどく激情的になるまりあだが、妹にだけはやさしい表情を見せる。


まりあは、幼い頃自ら背負った罪の意識から、過剰なまでの献身ぶりを発揮してしまうのだ。

士郎に対しても、明るく気丈で献身的に振る舞うのは、罪悪感の清算の想いが含まれている。


こうした過去のトラウマが、その後の人生に影響するという設定は、登場人物の大半に及んでいる。


ドラマには、二度も夫を失い、虚無的な毎日を送り続ける母親、妾の子という生い立ちゆえに、
女を憎み続ける実業家、幼い頃レイプされ、破滅的な人生を生きるホステス、などが登場する。


そして、まりあは、そんな人々の心の傷を抱きしめる、まさに聖母のような存在として描かれる。


こうした、まりあの一途な献身や自己犠牲の行動は、観る者の心を打つのだが、後悔と贖罪のみに
費やされる彼女の人生の果てに、幸せが訪れることはなかったのである。

   

 
(制作)フジテレビ(脚本)野島伸司

(配役)砂田まりあ(鈴木保奈美)高村士郎(三上博史)砂田なな(桜井幸子)神矢征司(豊川悦司)三島純(大浦龍宇一)
加賀美ルミ(横山めぐみ)砂田夕子(吉行和子)吉田潔(清水紘治)佐々木実(小木茂光)高村百合子(高樹澪)

二村浩一(加藤善博)田辺京子(秋本奈緒美)砂田(織本順吉)大前喬(塩見三省)西岸忍(濱田万葉)田川マキ(神崎恵)
村井良雄(鶴田忍)村井早苗(茅島成美)村井道夫(沢向要士)井野仁(松田勝)三浦博実(土屋久美子)



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