こおろぎ橋 1978年(昭和53年) ドラマ傑作選
佐和子(樋口可南子)は、山中温泉の老舗旅館「みゆきや」の一人娘。
昭和21年、女学校を卒業した彼女は、山の分校の教師になった。
素朴な子供たちとの日々は苦労もあるが充実していた。
しかし、心ならずも婿を取るために実家に帰らなければならなくなる。
婿に入ったのは隣町の旅館の次男幹夫(峰岸徹)であった。
北陸の温泉町が舞台、戦後から現代まで、たくましく生き抜いた女性の波乱の半生を描く。
高等女学校を卒業した佐和子は「家業を継いでくれ」という祖母ぬい(津島恵子)の
たっての願いを振り切って山の分校の教師になる。
彼女が分校に赴任する時に渡るのが「こおろぎ橋」だ。
行路危険(こうろきけん)というのが名前の由来で、そこを渡り、トンネルをくぐって
山奥の村に向かう彼女の将来を暗示する。
ドラマの最初の週は、国体護持者の校長(原保美)との出会い、馴染まない生徒や
排他的な村人たちの間で、健気に頑張る佐和子の姿が描かれる。
軍隊帰りの男に乱暴されそうになって山を下りた佐和子を、子供たちが迎えに来る
シーンは、すがすがしく感動的だ。
脚本は、石川県出身の佐々木守。主題歌は、同じく石川県出身のシンガーソングライター
丹羽応樹の作曲で、山中温泉郷の雰囲気がよく出た作品である。
(制作)TBS(脚本)佐々木守
(主題歌)丹羽応樹「こおろぎ橋」(作詞:門谷憲二、作曲:丹羽応樹)
(配役)北出佐和子(樋口可南子)北出ぬい(津島恵子)北出雅子(山口果林)湯川耕造(原保美)西口栄次(犬塚弘)
西口克子(加賀まりこ)西口孝一郎(風間杜夫)亀田幹夫(峰岸徹)ナレーター(宮内鎮雄)