湖水祭 1983年(昭和58年) ドラマ傑作選
大手旅行代理店に勤める長谷兵庫(田村亮)は、北欧のコペンハーゲン支店に滞在している。
主な仕事はツアー添乗員で、もっぱら北欧三カ国を行ったり来たりしながら働いている。
あるとき彼は、現地に一人旅で来て、ホテルを捜している古河雪江(多岐川裕美)と出会う。
出会ったのは、観光ツアーの予約確認のために訪れたストックホルム郊外の古城だった。
しかしあいにくどのホテルも満室で、見かねた兵庫は自分の部屋を雪江に提供する。
その後兵庫は、得意先の依頼で、ストックホルムで事故に遭って亡くなった古河健志の調査に向かう。
だが調査を進めるうちに、雪江がその古河の妻だったことを知って驚く。
ツアー添乗員を務める長谷兵庫は、ストックホルム郊外で謎の女・雪江に出会ったことから
奇怪な殺人事件にまきこまれる。白夜の北欧に展開するミステリーロマン。
舞台はデンマーク(コペンハーゲン)スウェーデン(ストックホルム)フィンランド(ヘルシンキ)
の北欧三国と日本。
長く厳しい冬から一気に真夏に変化する北欧の気候と風土が物語の背景となっている。
ドラマはヒロインとなる謎の女性・雪江(多岐川裕美)と相手役のツアー添乗員・兵庫(田村亮)の
知らない同士が、ストックホルム郊外にある古城で出会うところから始まる。
兵庫は高名な国際舞台女優の古河左江(杉村春子)、その甥の会社専務・榊原宗一郎(平幹二朗)ら
得意客を観光案内していた。案内の途中、ストックホルムで事故死したある人物の調査を依頼される。
ドラマの第一回は、登場人物の相互関係はあまり明かされないが、女優の左江と会社専務の榊原の
感情を殺した能面ののような表情が、これから起きる連続殺人への二人の深い関りを暗示している。
物語は全体に会話を少なくした手法が、美しい湖や、中世の雰囲気を伝える古城などの背景でドラマに
不気味さを加えている。
なお「湖水祭」とは、北欧で最も日照時間が長い夏至に行われる最大のイベントである。
毎年6月21日前後の三日間が祝日となり、人々はかがり火を囲んで歌い踊り、楽しいひとときを過すという。
(制作)フジテレビ(脚本) 平岩弓枝
(主題歌)丸山圭子「ラ・ムール」(作詞:丸山圭子、作曲:筒美京平)
(配役)古河雪江(多岐川裕美)長谷兵庫(田村亮)大和田(立原博)佐伯年雄(尾藤イサオ)
古河左江(杉村春子)榊原千春(新珠三千代)榊原宗一郎(平幹二朗)