くれない族の反乱 1984年(昭和59年) ドラマ傑作選
中野和子(大原麗子)は、結婚11年目の専業主婦。
夫は単身赴任、気の合わない姑にわがままな娘、家庭は不満だらけだ。
そんなおり、知人の紹介で、和子はデパートの食品売り場で働き始める。
初出勤の日、和子が乗ろうとしたタクシーに男が飛び乗ってきた。
彼は、なんとデパート食品売り場のチーフ佐伯(田村正和)だった。
これがきっかけで知り合った二人は、やがて互いに惹かれ合っていく。
佐伯は、妻子がいるが、折り合いが悪く、今は別居生活を送っている。
和子は、いけないと思いながらも、心はときめいてしまうのだった。
マンネリ化した日常に不満をもつ専業主婦の揺れ動く心情を描く。
「くれない族」とは「夫がかまってくれない」「子供が言うことをきかない」
といった不満症候群に陥った主婦たちのこと。
30代主婦の別称にもなり、このタイトルは、そのまま流行語になった。
和子の夫は、手取り30万円。東京近郊に建売住宅を買い、月々の返済は10万円。
だが、夫は甲府へ単身赴任となり、二重生活は貯金を食いつぶすばかりだった。
家庭の不満に、経済的ピンチが拍車をかけ、和子はデパ地下のパートを始める。
やがて、仕事を通じて出会った上司から、和子は思いを寄せられるようになる。
こうした身近にありそうな舞台設定が、主婦層の共感を呼び、高視聴率を記録した。
主婦の浮気は働いている人の方が多いという。職場には出会いが多いからだ。
夫婦共働きの時代を迎え、女性も強くなり、離婚も気軽に出来るようになった。
放送日の夜、この番組を見るために、家路を急ぐ男性も少なからずいたという。
(制作)TBS(脚本)大久保昌一良、椋露地桂子
(主題歌)竹内まりや「もう一度」(作詞・作曲:竹内まりや、編曲:山下達郎)
(配役)中野和子(大原麗子)佐伯亮一(田村正和)広瀬耕平(神田正輝)三宅薫(賀来千香子)寺田久美子(浅田美代子)
河村律子(由紀さおり)中野博(加藤健一)中野定子(千石規子)中野奈々(藤田亜里早)佐伯暁子(永島暎子)