国盗り物語 1973年(昭和48年) ドラマ傑作選
一介の油売りから身を起こして美濃の国主となった斎藤道三。
だが義理の息子の謀反により、野望なかばに倒れてしまう。
一方、今川義元を奇襲して鋭鋒を示した信長は、義父道三の仇を打つべく、
賢臣木下藤吉郎、竹中半兵衛の智略を得て美濃を攻略する。
上洛を志す信長はさらに畿内制覇の準備工作を進めてゆく…。
天下の制覇を夢みた斎藤道三(平幹二郎)その志を受け継ぐ織田信長(高橋英樹)
そして道三に才能を見出された明智光秀(近藤正臣)
下克上の乱世を生きたこの三武将にスポットを当て、国盗りに懸ける男たちの姿を
ダイナミックに描いた大河ドラマ。
道三亡き後、ともに後継者として天下統一をめざしながら、信長と光秀は袂を分かち、
本能寺で激突するまでの葛藤が綴られる。
明智光秀役の近藤正臣が信長に対する複雑な心理を表現し、話題を呼んだ。
では何故、明智光秀は謀反を起こしたのだろうか?
原作者の司馬遼太郎は、その動機として、光秀の怨恨説を挙げている。
ドラマの中で、信長が、光秀の頭を欄干に叩きつけるシーンがある。
短気で暴虐な信長に絶望感を抱いた光秀は、ついに謀反を決意するというものだ。
そのほか歴史作家によって「本能寺の変」は、様々な解釈がなされている。
津本陽「下天は夢か」池宮彰一郎「本能寺」では、秀吉の黒幕説が採用されている。
秀吉が派遣した密使の説得で、光秀は謀反を決意するというものだ。
また堺屋太一「鬼と人と 信長と光秀」では、光秀の義憤説を挙げている。
比叡山の焼き討ちなど、信長の蛮行に終止符を打つために、謀反を起こすというものだ。
それぞれの作家が思い描く「本能寺の真相」を堪能してみるのも面白いだろう。
(制作)NHK(原作)司馬遼太郎(脚本)大野靖子
(配役)斎藤道三(平幹二郎)織田信長(高橋英樹)濃姫(松坂慶子)明智光秀(近藤正臣)おまき(中野良子)
羽柴秀吉(火野正平)黒田官兵衛(江守徹)徳川家康(寺尾聡)細川藤孝(伊吹吾郎)細川忠興(石田信之)