いつかライオンの夢を 1992年(平成4年) ドラマ傑作選
東京の会社に勤めていた中町俊郎(蟹江敬三)は、仕事上でミスを犯し、大阪支社へ転勤を命じられる。
妻の加津子(加賀まりこ)は、あれこれ理由をつけて東京を離れようとせず、俊郎は単身赴任となった。
大阪支社に出勤しても、俊郎は慣れない職場で肩身が狭い。 部下の小島(妹尾和夫)は、この際思いきり
羽を伸ばせばよいと俊郎をけしかけるが、不倫などとても無理な話だった。
そんな中、俊郎をただひとり温かく迎えてくれたのは、同じ部で働く折口さつき(国生さゆり)だった。
ある日さつきは「家の都合で食べて帰らなくてはならないので…」と、俊郎を夕食に誘う。
俊郎は食べながら「仕事の話かと思った。女の子が誰彼かまわず誘ったりするもんじゃない」などと
説教してしまうのだった。
本作は、テンポのよい軽妙な会話劇に加えて、俳優達の個性的な演技がストーリーに彩を添えている。
蟹江敬三が、左遷で余儀なく単身赴任した中年男の悲哀を演じ、見ているものにある種の愛情を抱かせ、
妻役の加賀まりこも自由奔放な専業主婦の雰囲気をよく表している。
ヒロインの国生さゆりは、大阪に単身赴任してきた俊郎(蟹江敬三)に、優しく接するOL・さつき役。
舞台が大阪ということで、九州出身の彼女は、大阪弁のアクセントを大特訓したという。
なお、タイトルの「ライオンの夢」は、ヘミングウェイの小説「老人と海」に登場する一節。
海から港に戻った老人が眠りにつき、百獣の王ライオンの夢を見るのだが、これは老いてもなお
強くありたいという願いの現れだという。
ドラマの後半、俊郎がさつきに、このライオンの夢を引き合いにして、自らの夢を語る場面がある。
(制作)MBS(毎日放送)(脚本)岩佐憲一
(配役)中町俊郎(蟹江敬三)、中町加津子(加賀まりこ)、折口さつき(国生さゆり)
小島(妹尾和夫)夏子(山下容莉枝)