うちのママは世界一 1959年(昭和34年) ドラマ傑作選
ヒルデールの町に住む中流家庭・ストーン家は、パパとママ、一男一女の4人家族。
完璧な専業主婦であるママは、家の中のあらゆることをこなす。
小児科医で働き者のパパの世話をし、子供たちの悩みもテキパキ処理していく。
隣人とのいざこざを解決し、それでも毎朝、朝食前にはパンケーキとハムエッグ、
グラスに入ったミルクとオレンジジュースを、子供たちのために用意しておく。
まさに至れり尽くせりの、とっても頼れるママなのだ。
アメリカのある都市の郊外にある家庭を舞台に、4人家族の日常生活の騒動を描く。
映画「地上より永遠に(1953年)」で、アカデミー賞を受賞したドナ・リードが
明るく賢い母親に扮し、良きママぶりを発揮するホーム・コメディ。
本作は、前年のドラマ「パパは何でも知っている」の女性版として大ヒットした。
ドラマに描かれる母親は美しかった。家の中でも明るい柄のドレスを着て、ハイヒールを
履き、ネックレスを着けたママは、繁栄するアメリカそのものを体現していた。
「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」という、この当時に提唱された言葉がある。
郊外にある庭付きの住宅、自家用車、大型の冷凍庫付き冷蔵庫、システム・キッチンなど、
耐久消費財を基盤とする豊かなライフスタイルがその一般的な構図であった。
アメリカでは、終戦で800万人に及ぶ兵士が帰郷すると、彼らの職場を確保する必要から、
アイゼンハワー政権が「夫が働き主婦は家庭を守る」というトレンドを望み、それを後押し
したのが、ファミリー向けテレビドラマだった。
「パパは何でも知っている」「うちのママは世界一」といった当時のテレビドラマの題名に
象徴されるように、新しい中流階級が郊外にマイホームを築いていくなか、家族の安定と
繁栄はアメリカの安定と繁栄の縮図にほかならなかったのである。
うちのママは世界一(The Donna Reed Show)(制作)ABC(アメリカ)(放映)フジ
ドナ・ストーン(ドナ・リード)(声:富永美沙子)アレックス・ストーン(カール・ベッツ)(声:北町史郎)
ジェフ・ストーン(ポール・ピーターセン)(声:川内孝子)
メアリー・ストーン(シェリー・フェブレー)(声:藤巻桂子)トリーシャ(パティ・ピーターセン)(声:山本嘉子)