めぐり逢いて
1982年(昭和57年)
ドラマ傑作選
浜名湖の北岸にある三ヶ日町。ここから浜松の楽器工場に通っている志津子(紺野美沙子)は、
ある日、同僚の雄二(三浦浩一)からデートに誘われた。
しかし志津子には、人に知られたくない過去があった。
志津子の父・多吉(下元勉)は、13年前、農協の金を使い込んで出奔、それを苦にした母は、
浜名湖に身を投じて亡くなった。
幼かった志津子と兄の進也(谷隼人)は、旅館を営む叔父夫婦に引きとられたが、
その後、進也は家を飛び出して行った。
約束の土曜日、雄二の待つ浜名湖畔に駆けつけた志津子は、浜松のアパートで一人暮らしの
雄二が、三ヶ日町のみかん農家の次男坊であることを知って驚く。
実家で見合いを勧められている雄二は、母や兄に会ってほしいと頼むが、家柄が違い過ぎると
志津子はためらうのだった。
しかし雄二の優しさに心惹かれる志津子は、暗い過去をどうしても雄二に話せないまま、
彼の実家に伴われて行った。
ところが、志津子の母親の名を聞いた雄二の母・鈴代(佐々木すみ江)は、顔色を変えるのだった。
結婚は、当人同士が愛し合ってさえいればいい ―― 現代の、特に若い人たちの結婚観では、
こんな恋愛至上主義が支配的だ。「お見合いでした」と言うのが、カッコ悪いかのような。
だが現実には、家族との関係など諸条件が、結婚を幸せにも、不幸せにもしてしまう。
本作は、そうした視点から、愛し合いながらも肉親のしがらみから抜け出せず、
別れを余儀なくさせられた若い男女の悲恋を描いた物語。
舞台となった浜名湖の、逆光線にキラキラ光る風光が、かえってドラマの陰影を際立たせる。
ヒロインの紺野美沙子が、明るさとかげりを巧みに表現して、見る者に深い印象を与えている。
(制作)NHK(脚本)楠田芳子
(主題歌)榊原まさとし「明日・・・あざやか」(作詞作曲:榊原まさとし)
(配役)山崎志津子(
紺野美沙子
)山崎進也(谷隼人)山崎多吉(下元勉)吉田春吉(高原駿雄)吉田きみ(中原早苗)
吉田むつ子(水沢萌子)磯部雄二(三浦浩一)磯部鈴代(佐々木すみ江)米子(松永年代)守(三ツ木清隆)
明日・・・あざやか
お前に逢うたび いつも悲しくなる それはお前の ほほえみのせい
知っているよ 涙をかくしているのを 小さな夢さえも 忘れようとしているのを
ごらんあの湖(うみ)を きらめく光を そうだよ 今はまぶし過ぎるだろう
悲しみは 僕に預ければいい そうだよ お前はひとりぼっちじゃない