無人島の暮らし方 (2)
火の起こし方 (その1)
火種を作る方法の基本は、太陽熱を利用する。
子供の頃にしたようにレンズや反射鏡を使って火を起こすのである。
虫メガネや凸レンズを使えば、おがくずやほこりくずに光を集めて燃やすことができる。
凸レンズがなければ、カメラや双眼鏡の対物レンズでもよい。
腕時計のガラスを外して内側に水を入れたり、透明なビニールに水を入れても、即席の凸レンズとして活用できる。
懐中電灯があれば、反射鏡を利用して、真ん中におがくずを置き、光を集めれば、火が付く。
黒いカーボン紙やフィルムはなぜ、よく燃えるのか。
元々物体に光が当たると、ある色は反射され、ある色は吸収される。
赤いバラが、赤く見えるのは、赤は反射され、他の色は吸収されるからである。
黒い物体は、光を吸収し、目に入る反射の色がないために黒く見える。
このように、光を吸収するので、太陽の光を集めて燃やすと、当然よく燃える。
天気の悪い日には、木と木をこすりあわせて、火を起こす方法がある。
きねと呼ばれる縦長の棒を火きり板と呼ばれる板に回しながらこすりつけるのである。
この時、きねにロープを巻き付けて、きねを回す方法を、ヒモギリ式火弓法という。
ロープの往復運動を効率よく回転運動にかえ、発火作業が楽で体力がいらない。
縄文時代後期の北海道の一部でもヒモギリ式火弓法がつかわれた。
古代エジプトのツタンカーメン王の墓からは、精巧なヒモギリ式発火具が出土している。
手元に弓木がなければ、まっすぐな棒にロープを張っても同様の効果を得られる。
火きり板の端にV字の刻みを入れ、頂点部に小さい穴をあけて火キリ棒を立てると、
発生する粉がV字溝にたまりながら、摩擦高熱面に接するので、発火しやすくなる。
きねには、ひのきが一番良いが、ウツギ、竹、クルミ、桑等でも大丈夫である。
火きり板には、やはりひのきが良いが、固すぎない木で、杉等でも良い。
火の起こし方 (その2)
火打石は、発火具のひとつで、うちつけて発火させる石のことである。
細かい結晶が塊状になった石英の一種で、石灰岩の中に、灰白色の塊となってみつかることが多い。
木と木をすりあわせて火をおこす摩擦法にくらべ労力的にも簡便な発火具であるが、火打石はそう簡単にはみつからない。
石英の中で、模様が規則的な結晶が水晶(クリスタル)である。
木が空気中で熱を受けて、燃え始める「発火点」は、400℃から470℃。
木の摩擦熱をこの温度まで上げるには、かなりの力と速度、圧力が必要である。
ちなみに、紙の発火点は、450℃である。
(1月20日の解答)
B ナイフ D ビニール袋 F バケツ J 飯盒 P 火打石 の5つが最も必要。
火打石は、火を起こすのに、バケツ、飯盒、ビニール袋は、海水を浄化したり、蒸留するのに必要。
無人島では、まず、火と水の早期確保が最優先されるのである。
ナイフは、木を削り、魚をさばき、山菜を切り取り、ロープを切断するなど、無人島で生きのびてゆくために重要な役割を果たす。
しかし、ナイフがなくてもあきらめてはいけない。
ガラスや硬い石の破片、また竹などもうまく裂けば、その切り口はかなり鋭い。
必要なものは工夫して手に入れる。この発想こそが、サバイバルには必要なのである。
右図は、ビニール袋を利用した蒸留器と浄水器。
ビニール袋で火を起こす方法 (www.youtube.com)
竹細工
竹を使った道具や食器の作り方である。
作れる物は、スプーン、フォーク、ナイフ、皿、鍋、小皿、椀、水筒、コップ、クギ、ハリ、やかん等の道具から、
竹とんぼ、弓、弓弦、竹馬、たこ、水鉄砲等の遊び道具まで幅広く竹で作れる。
竹の左右の節を残したまま縦に割れば、横はふさがっており、中は空っぽの細長い器になる。
竹は、かなりの強火でも煤ができるくらいで燃えないため、肉、野菜などを煮る鍋には打ってつけである。
竹は人間にもっともよく利用されている植物である。
竹は「根幹」とよばれる土の中の幹から芽が出て育つ。
竹の子の段階から、すでに成熟期と同じくらいの太さを持っており、地上に姿を現してから成熟するまで、わずか数ヶ月しかかからない。
花の咲く間隔は、通常二十年以上。
熱帯のみならず、温帯でも繁茂する竹は、多様な建築資材に使われ、よく切れるナイフでなければ、全く刃が立たないほど幹の繊維がかたい。
熱帯では主に家、いかだ、橋、足場などをつくるのにつかわれる。
竹をわって平らにけずったものを床板にしたり、あんで、かごやマット、帽子、魚をとらえる仕掛けなどをつくる。
紙の原料となるパルプのほか、釣りざお、送水管、楽器(尺八、笛など)、箸(はし)、筆、うちわ、扇子などがつくられる。
竹細工の傑作としては、茶道の茶せん、茶しゃく、生花筒などがある。