並木家の人々   1993年(平成5年)       ドラマ傑作選

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並木公平(武田鉄矢)は、大手銀行の課長。

だが学歴があるわけでもなく、上司に媚びへつらい、出世してきた叩き上げである。


弟・清次(陣内孝則)は、何千万円の借金に追われ、ヤクザまがいの仕事に手を染めている。

妹・花(安田成美)は、妻子ある男と不倫していたりと、弟妹二人は何れも問題を抱えている。


さらに父親・邦太郎(大滝秀治)は、沈没船の金塊さがしにうつつをぬかす道楽ものであった。


父親は、これまで家族にさんざん迷惑をかけてきたにもかかわらず、今だに一攫千金を狙って、
とある船を引き揚げるための資金作りに奔走している。





一方、借金返済に追い込まれた弟は「沈没船引き揚げ」をネタに、ヤクザが経営する金融屋から
金を引き出し、借金返済に流用してしまう。


そして沈没船を引き揚げなければ、ヤクザに命を奪われかねない状況に追い込まれる。

そんな中、父親の邦太郎は、沈没船引き揚げを果たせないまま、息を引きとってしまう。



やむなく長男である公平が、弟・清次の命を救うために、父親の遺志を継いだかたちで、
沈没船を引き揚げざるを得なくなる。


彼にしてみれば、沈没船の引き揚げに加担する事は、母親に苦労をかけて死なせた父親の人生を
肯定し、家族の為に死に物狂いで働いてきた己の人生を否定する行為に他ならない。


それは到底容認できる事ではなかったのだが、それでも彼は弟を救うため、家財を売り払って
資金を作り、沈没船引き揚げという最初で最期の大博打を打つ。


銀行員で生真面目な長男、夢ばかりを追うトラブルメーカーの弟、そして不倫に悩む気持ちの優しい妹。

それぞれの性格の違いからくる兄弟の葛藤の中で、家族の原風景が苦渋をもって浮かび上がってくる。

時として煩わしくさえ感じることがあっても、離れてしまうことはできない家族の絆を描いた作品である。
   

 
(制作)フジテレビ(脚本)池端俊策

(配役)並木公平(武田鉄矢)並木清次(陣内孝則)並木花(安田成美)並木邦太郎(大滝秀治)並木薫(大谷直子)
大津三郎(杉本哲太)朝吹京子(原田貴和子)大石三四郎(段田安則)二岡支店長(小野武彦)基安(ガッツ石松)
並木大介(いしいすぐる)監察官(菅貫太郎)松田(藤田敏八)並木美也子(原田美枝子)



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