新・女検事 霞夕子   1994年(平成6年)       ドラマ傑作選

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霞夕子(鷲尾いさ子)は、横浜地検に勤務する駆け出しの検事。


母親(朝丘雪路)と寺の住職の夫(村田雄浩)と三人で暮らしている。

仕事はバリバリこなす夕子だが、家事は苦手のダメ主婦である。


そんなある日、田園調布の路上で殺人事件が発生。

路上に止めてあった車の中で、大手デパートの重役夫人が絞殺されていた。


助手席からは、犯人の手がかりとなる一本の金髪が見つかった。

捜査線上に、被害者と交流のあった某国の大使館員の存在が浮かび上がる。




だが数日後、その大使館員は、外交官の特権を盾に出国してしまう。




1989年「文芸春秋」に連載された夏樹静子の短編小説「ペルソナ・ノン・グラータ」のドラマ化。

ペルソナ・ノン・グラータ(persona non grata)とは、外交用語で、好ましくない人物の意。


国際法上、外国の大使や領事など、外交官が自国にとって好ましくない人物と判断した場合、
理由を示さず、単にペルソナ・ノン・グラータであるとして、国外退去を求めることができる。


これは、外交官が犯罪を犯しても、治外法権などの外交特権により、自国では逮捕できないため、
対抗措置として、外交官の国外追放が認められているのである。


本作は、この外交特権を巧みに利用した犯罪を題材としたものだが、あらかじめ犯行場面が
描写されるため、視聴者は犯人が分かった状態で物語が進行する。


その上で、主人公の霞夕子が、犯人のトリックを解き明かしていく過程や、犯罪の背後に潜む
複雑な人間ドラマの描写が見どころとなっている。


本作は、鷲尾いさ子が情感のこもった演技で、霞夕子役を好演。

おっとりとした外見からは想像できない鋭い観察眼、推理力に長けた敏腕検事である。


ところが家に帰ると、肩の力が抜けてダメ主婦に早変わり。そんな落差が人気の要因となり、
1994年から2003年まで9年間、全20作ものロングラン・シリーズとなった。
   

 
(制作)日本テレビ、ユニオン映画(原作)夏樹静子(脚本)石松愛弘

(配役)霞夕子(鷲尾いさ子)山野一平(平田満)霞友行(村田雄浩)霞瑞江(朝丘雪路)
緒方しのぶ(姿晴香)綾瀬伸之(寺田農)綾瀬英里(高林由紀子)熊井(斉藤暁)



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