女と味噌汁 1965年(昭和40年) ドラマ傑作選
てまり(池内淳子)は、新宿の弁天池界隈で名を馳せる芸者。
ゆくゆくは自分の小料理屋を持ちたいという夢がある。
その夢を叶えるべく、毎晩のように、弁天池脇にライトバンで
自慢の味噌汁とおにぎりを売る店を出している。
あるとき、お座敷の客、桐谷(川崎敬三)がてまりの部屋に泊り、帰り際に一万円を渡す。
桐谷には、じつは妻子がいて、やがて妻(木村俊恵)にてまりとのことがばれてしまう。
妻はてまりのアパートに押しかけて文句をつける。
だが、お互いに身の上話をするうちに、二人はすっかり打ちとけてしまう。
最後は一万円を半分に分けて、二人は気持ちよく別れるのだった。
主人公・てまりは、深夜と昼間は味噌汁屋台で働く家事の大好きな芸者。
着飾って媚びを売るのは得意だが、私生活ではろくに家事もできない…
そんな芸者イメージをひっくり返す甲斐甲斐しい女性だ。
アパートに戻れば、味噌汁はもちろん、お茶をいれても、掃除をしても天下一品。
「漬物の色を良くするには、クギを入れると危ないから、パチンコ玉を」といった
てまり流「生活の知恵」も披露していた。
当時、家事の手抜きが目立ってきた主婦たちへの皮肉な一撃とも評された作品である。
主演の池内淳子を取り巻く山岡久乃、新人の長山藍子ら芸者仲間たちも芸達者で息が合っていた。
また田村正和、竹脇無我など、二枚目スターがゲスト出演するのも女性ファンの楽しみだった。
(制作)TBS(脚本)平岩弓枝
(配役)室戸千佳子/てまり(池内淳子)小桃(長山藍子)村井すが(山岡久乃)小せん(佳島由季)
染丸(桂由季子)桐谷広二(川崎敬三)桐谷錦子(木村俊恵)