俺の妹がこんなに可愛いわけがない 2010年(平成22年) ドラマ傑作選
主人公の高坂京介は、勉強は普通、スポーツも普通というごく平凡な高校生。
一方、妹の桐乃は、学業優秀、スポーツ万能というかなりハイスペックな中学生。
誰が見ても完璧な妹だが、ある一つの秘密があった。
それは … ゲームやアニメが大好きな、いわゆるオタクだということ。
それも生半可なオタクではなく、自室の隠しスペースにはオタクグッズがぎっしり。
中でもとくに偏愛しているのが「妹もののエロゲー」というから筋金入りである。
もっとも彼女はその趣味を、友人はおろか家族にまで秘密にしている。
つまりは隠れオタクなのだ。
そんな妹の趣味をひょんなことから知ってしまった京介は、桐乃から勧められた
「エロゲー」を、彼女と一緒にプレイする羽目になるのだった。
本作は、凡庸で冴えない兄・京介が、才色兼備の妹・桐乃に、当初はバカにされていたにも
かかわらず、彼女のオタク趣味発覚をきっかけとして、交流を取り戻していく物語である。
原作は、2008年「電撃文庫」に掲載された伏見つかさの同名小説で、発刊後、オタク文化を
支える多くの若い読者の支持を獲得し、単に「妹もの」という「萌え」のジャンルのなかの
一作品という枠に収まらない、オタク文化を象徴する大ヒット作となった。
作品の中では、オタク文化に嫌悪感を抱く親や親友といった周囲との確執を通じて、オタク文化
への抑圧や誤解への対応がつぶさに語られ、最終的にはオタク賛歌へと繋がっていく。
実際、本作をきっかけにオタク文化に傾倒する事になった読者も多いと思われる。
現実の社会では、まだまだオタクは恥ずかしいモノとして糾弾され、白い目で見られがちだ。
せめて創作の世界だけは、そのような偏見から解放された明るく前向きな世界であって欲しい
という作者の切なる願いが感じられる作品である。
(制作)TOKYO MX、AIC Build(原作)伏見つかさ(脚本)倉田英之
(主題歌)ClariS「irony」(作詞・作曲:kz)
(配役)高坂桐乃(竹達彩奈)高坂京介(中村悠一)黒猫(花澤香菜)沙織・バジーナ(生天目仁美)
田村麻奈実(佐藤聡美)新垣あやせ(早見沙織)来栖加奈子(田村ゆかり)
メルル/星野くらら(田村ゆかり)高坂大介(立木文彦)高坂佳乃(渡辺明乃)