おりん 1979年(昭和54年) ドラマ傑作選
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明治16年、日本橋の呉服屋の娘・おりん(佐藤万理)は 18歳。
父・惣助(織本順吉)は、おりんを南部清蔵(藤竜也)に嫁がせようとする。
実のところ、この縁談は訳ありで、店の倒産の危機を救うためだった。
清蔵は、貧農の三男坊から成り上がり、今は横浜で貿易商を営んでいる。
そのほか彼は、高利貸しにも手を出しており、日の出の勢いであった。
おりんは、いったんは縁談を承諾したものの、金がからんだ話と知るや、
幼馴染の遊び人・辰次(夏夕介)を誘って、偽装駆け落ちをしてしまう。
辰次は渡りに船と、おりんをものにしたあげく、女郎屋に売り飛ばそうとする。
その危ないところを救い出してくれたのが、南部清蔵だった。
この一件でおりんは、成り上がり者だと思っていた清蔵を見直すのだった。
没落しかけている呉服屋の娘と、成り上がりの中年男との波乱万丈の恋物語。
明治中期の東京は民権運動や近代化の波が押し寄せていた。
ふたりの愛はそんな時代背景や周囲の状況に翻弄されて、なかなか成就しない。
一度は別れ別れになるものの、ヒロインおりんはひとつの愛を貫き通す。
ヒロインを演じる佐藤万理は、日舞の藤間流の名取でもあり、カツラと和服が
バッチリきまっている。
一方、惚れられる男、南部清蔵を演じる藤竜也は、TBS「時間ですよ」で、
サングラスをかけた元ヤクザ・風間を演じ、一躍人気者となった。
だが本人は、これから半年間「おりん」一本に集中、カケ持ちはやらないと
語っている。
ともあれ偽装駆け落ち、牛なべ屋経営、北海道開拓 … と物語も波乱万丈だ。
(制作)TBS(脚本)北村篤子
(主題歌)結城はるみ「旅人になる時」(作詞:白石ありす、作曲:石川鷹彦)
(配役)佐久間りん(佐藤万理)南部清蔵(藤竜也)佐久間惣助(織本順吉)佐久間とき(今井和子)
三浦辰次(夏夕介)金井忠作(花沢徳衛)金井かめ(東啓子)小川たか(宇津宮雅代)松下ゆう(泉晶子)
土屋源兵衛(森本レオ)松原(西沢利明)留吉(風間杜夫)ナレーター(加賀まりこ)
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