乙姫先生 1976年(昭和51年) ドラマ傑作選
北海道・岩内高校の教師・田鶴子(吉永小百合)は、音楽学校時代の
恋人・弘志(小野武彦)と札幌で会った。
弘志は、ウィーンで修行中の新進ピアニストである。
田鶴子と弘志は、かつて演奏家を目指して競い合った仲だったが、
いまは会話に共通性を見いだせなかった。
演奏家を諦め、港町の高校に音楽教師として赴任したものの、
その毎日は田鶴子を落胆させるばかり。
翌日、田鶴子はヒスを起こして、反抗的な生徒・登(赤塚真人)を教室の外へ
追い出してしまう。
女教師が音楽学校時代の恋人に会うが、婚約者もいると聞き、生徒に当たってしまう。
原作は山田洋次の書下ろし作品。山田は吉永小百合を念頭において執筆したという。
主演の吉永は、1973年、フジTV・岡田太郎氏との結婚で引退するが、翌年カムバック。
東芝日曜劇場シリーズの常連として出演を続けている。
吉永演じる田鶴子は、その美貌から生徒たちには、乙姫先生というあだ名で呼ばれている。
生徒の自主性を重んじ、やさしいながらも時には厳しい態度で臨むことも。
ある日、あばれんぼ生徒の登に手を焼いた乙姫先生は、彼を教室から追い出してしまう。
が、その直後に登の母親が急死し、登は弟妹たちを養うために学校をやめることになる。
登の境遇を知った乙姫先生は、いてもたってもいられなくなってしまう。本作は、教師と
生徒との心の交流を描き、ほのぼのとした感動を呼び起こす作品となっている。
ドラマの中で乙姫先生がピアノを弾く場面があるが、吉永自身が実際に弾いている。
なんとピアノはプロ級の腕前で、CDも出しているとか。さすが才女だ。
(制作)HBC(北海道放送)(原作)山田洋次(脚本)高田三郎
(配役)田鶴子(吉永小百合)川島弘志(小野武彦)菊地登(赤塚真人)
鬼頭大八郎(太宰久雄)清子(露原千草)玉枝(櫛谷恵美)進(湯浅幸洋)