親の出る幕 1988年(昭和63年) ドラマ傑作選
扇子店の長女・真弓(田中好子)は29歳。幼稚園の保母だが、30歳を機に予てより夢だったデザイナー
になろうと東京のデザイン学校へ通うことを決意する。
しかし、父親の勝(佐藤慶)は、結婚こそが女の幸せだと頑に信じ、真弓に無理やり、33歳の弁護士と
見合いをさせようとする。
娘の上京を阻止したい父親に負け、真弓は見合いの席へ出向いたが、そこでかつての恋人である中岡
(国広富之)に再会する。なにやら、焼けぼっくいに火のつく気配が。
加えて、真弓に秘かに心を寄せていた幼馴染の邦夫(太川陽介)も、恋の告白に及ぶに至って、事態は
更にややこしくなっていくのだった。
名古屋の街中、堀川沿いで伝統の扇子問屋を営みながら、ひたすら娘の幸福な結婚を願う父親と
30歳を目前に、自立を考えている娘。
互いに幸せを想いながらも、確執を続けてしまう親子の模様をコミカルに描く。
佐藤慶と田中好子の父娘は一見、他人行儀だ。それでいて、愛情百パーセントの父娘の絆の深さが
画面から伝わってくる。
ちょっと可笑しくもあり、切なくもある親子ドラマだが、ふだんコミカルな持ち味を出すチャンスの
ない佐藤慶が、本作では所を得て、生き生きと演じている。
(制作)NHK名古屋(脚本)布勢博一
(主題歌)牧村三枝子「明日川」(作詞:石坂まさを、作曲:坂田晃一)
(配役)加藤真弓(田中好子)加藤勝(佐藤慶)加藤ルミ(水島かおり)中岡(国広富之)
杉山邦夫(太川陽介)のぶ(山田昌)