パック町を行く 1953年(昭和28年) ドラマ傑作選
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昭和28年、戦後8年目で、繁華街はようやく活気を取り戻しつつあった。
しかしまだ、人々の暮らしは貧しく、住宅地では焼け跡や瓦礫が
そのままになっていたりする時代であった。
銀座の町角には、戦災孤児とみられる靴磨きや花売りの子供たちが大勢いた。
彼らは毎日ひもじい思いをしながら、終日靴磨きなどを行って日銭を稼ぎ、
路上で寝泊まりしていた。
そんなある日、彼らはパックという名の妖精のウワサを耳にする。
その妖精は、おいしいものをたらふく食べさせてくれるというのだ…。
日本テレビが開局後、七日目にスタートさせた意欲作で、日本初の連続ドラマとされる。
主人公のパックは、シェイクスピア「真夏の夜の夢」でおなじみのメルヘンチックな存在。
東京・銀座を舞台に、可憐な妖精が生活に飢えた子供たちに奇跡を起こすという内容で、
撮影には高感度カメラを駆使して、ファンタジックなおとぎの世界を演出している。
キャストは、童話劇を得意とする児童劇団・東童(東京童話劇協)のメンバーが務めている。
本作は、毎週木曜日の夜を飾るホームドラマの佳品として、大人からも子供からも親しまれた。
(制作)NTV(日本テレビ)(脚本)宮津博
(配役)パック(角田富江)正子(日暮里子)六造(立川恵三)花子(千葉三重子)花売り娘(荘司美代子)劇団東童
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