パンとあこがれ 1969年(昭和44年) ドラマ傑作選
貧乏士族の娘・吉本綾(宇津宮雅代)は、名門・仙台女学院に合格した。
父はすでに亡く、一家の生活は兄・孝太郎(寺尾聡)の収入に頼っている。
胸を病む姉・美代(松尾嘉代)を抱えた吉本家には綾を入学させる余裕はなかったが、
綾の熱意にほだされ、母の敬(津島恵子)が内職をすることで遣り繰りをした。
女学生生活を謳歌する綾は、親友・静子の兄・朔(大出俊)に出会ったことから
運命が大きく変わることになる。
明治・大正・昭和の激動のなかに、新宿・中村屋を築き上げた女性の破天荒な生涯を描く。
仙台の片田舎に育ったヒロインは、周囲の人たちから「アンビシャス・ガール」と呼ばれた。
女に教育なんていらないという当時の風潮のなかで、女学校へ通い、東京の文化に憧れ、
ついに上京してパン製造販売の店を開くことになる。
その間に失恋したり、親友を病魔に奪われたり、見合い、やがて結婚、そしてなお文化に
対する情熱を燃やし続けた、本作はそんなスーパーウーマンの一代記である。
ヒロインに抜擢されたのは、21歳の文学座の新人(研究生)宇津宮雅代。
テレビのレギュラー出演は初めてという彼女は、半年間に渡り、17歳から72歳までの
女の一生を演じる。
(制作)TBS(脚本)山田太一
(配役)吉本綾(宇津宮雅代)吉本敬(津島恵子)吉本孝太郎(寺尾聡)吉本美代(松尾嘉代)
島村朔(大出俊)島村静子(西尾三枝子)相馬隆蔵(東野英心)吉次(花沢徳衛)徹どん(小坂一也)