鹿鳴館 2008年(平成20年) ドラマ傑作選

文明開化の花咲く明治時代の社交界。
鹿鳴館では、外務卿、影山伯爵(田村正和)主催の大舞踏会が催されようとしていた。
元は芸妓だった影山夫人、朝子(黒木瞳)は、親しい華族令嬢の顕子(石原さとみ)の恋の仲立ちを頼まれる。
その相手は、舞踏会襲撃を計画している反政府活動家、清原永之輔(柴田恭兵)の息子、久雄(松田翔太)だった。
新橋芸妓だった朝子はかつて永之輔と恋仲にあり、久雄は朝子が産んだ子だった。
だが家庭を顧みない父に恨みを抱く久雄は、永之輔を暗殺しようと企てる。
一方、今も永之輔を愛する朝子は、永之輔の命を守るべく奔走。
だが、久雄に永之輔暗殺をそそのかしていたのは、夫の影山だったことを朝子は知る。
ときは明治16年(1883年)今からおよそ130年前、東京・日比谷に一大社交場、鹿鳴館が建てられた。
本作は、ここに集う男女の愛憎渦巻く人間模様を描いた作品。
原作は、作家の三島由紀夫が、女優・杉村春子を念頭に置いて書いたとされる舞台用の戯曲作品で、
1986年(昭和61年)には浅丘ルリ子主演で、市川崑監督により映画化もされた。
今回は、テレビ朝日開局50周年記念ドラマとして制作されることになり、
局側が「三島作品で男性の視点から鹿鳴館を描いてみたい」と、主演の影山伯爵役を田村正和に依頼。
そして、田村のたっての希望で、黒木瞳が妻の朝子役に決まった。
何度も夫婦役でドラマ共演した二人だが、今回はこれまで演じてきたことがない「仮面夫婦」を演じる。
劇中、妻のかつての恋人への嫉妬が募るあまり、妻を屈服させるために発した荒々しいセリフは、
田村のあの独特のしゃがれた声でないと出せないすごみと迫力だ。
鹿鳴館のシーンでは、同じ設計者によって建てられた清泉女子大学(品川区五反田)の本館「旧島津邸」が
外観のロケ地に選ばれ、ここで撮影が行われた。
影山と朝子がワルツを踊るクライマックスの舞踏会シーンは、スタジオ内にシャンデリアから調度品まで揃え、
約150平方メートルのダンスホールを丸ごと作り上げた。
ダンスの心得のある外国人を含む計100人のエキストラが、当時の豪華なドレスや軍服などの衣装に
身を包んで撮影に臨んだ。
(制作)EX(テレビ朝日)シネハウス(原作)三島由紀夫(脚本)鎌田敏夫
(配役)影山悠敏(田村正和)影山朝子(黒木瞳)大徳寺季子(麻生祐未)大徳寺顕子(石原さとみ)伊藤博文(風間杜夫)
清原永之輔(柴田恭兵)清原久雄(松田翔太)飛田天骨(橋爪功)女中頭・草乃(高畑淳子)ナレーション(野際陽子)
