龍馬伝   2010年(平成22年)       ドラマ傑作選

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坂本龍馬(福山雅治)は、幕府だけでなく、討幕勢力からも、邪魔者として命を狙われていた。


幕末には「幕府を倒せ」という議論が盛んになっていた。

だがこの幕府を倒すにも「倒幕」と「討幕」の二つがある。

倒幕は「話合いによって幕府を解体する」という考えだ。

一方、討幕は「武力によって幕府を滅ぼす」という考えである。


龍馬は、話合いによる「倒幕」論者だった。
そこで土佐藩を通じ、将軍慶喜(田中哲司)に「大政奉還」を進言したのである。


龍馬の案によれば、政権を幕府から朝廷に返上し、その後の政治は諸藩の合議制によって行う。

その会議の議長には徳川慶喜が就任するというものであった。


慶喜は、この体制でも事実上自分が主権者になれると信じて、この案を受け入れる。

慶応三年(1867年)10月14日、慶喜は大政奉還の上表を提出。翌15日、朝廷は大政奉還を受け入れた。





だがあくまで武力討幕を目指す薩摩と長州は、平和改革路線を訴える坂本龍馬の暗殺を謀る。

大政奉還後、新政権に慶喜を擁立しようという龍馬が、急速に目障りになってきたからである。


討幕派は、慶喜の政治力を怖れ、彼を新政権に迎えることは絶対に避けたかった。

関ヶ原以来、外様大名として、負け組の地位に甘んじてきた薩長の徳川に対する恨みは、
それだけ深かったのである。


慶応三年(1867年)11月15日、龍馬は、京都の近江屋で、武力討幕すべしという
中岡慎太郎(上川隆也)と大激論を交わしていた。

龍馬にしてみれば、すでに大政奉還した幕府をつぶすために、血を流す国内戦争など
愚の骨頂であったのだ。


だが、その最中、龍馬は京都見廻組の刺客に襲われ、命を落とす。享年三十三歳であった。




幕末の風雲児・坂本龍馬の生涯を、三菱財閥創始者・岩崎弥太郎の回想で綴った大河ドラマ。

高知・土佐に生まれた龍馬が、幕末の動乱で薩長同盟に尽力し、明治維新を大きく進める
原動力となっていく。龍馬を演じた福山雅治は、激動の時代を駆け抜けたヒーロー像を確立。


福田靖のオリジナル脚本。新たな龍馬像をダイナミックな演出で見せる骨太のストーリーは
幅広い世代から支持を集めた。


鳥かごを背負った歯が真っ黒な弥太郎に扮した香川照之や、人斬り以蔵として葛藤を抱える
佐藤健ら脇を固めるキャストの熱演も見どころだった。
   

 
(制作)NHK(原作)(脚本)福田靖

(配役)坂本龍馬(福山雅治)岩崎弥太郎(香川照之)武市半平太(大森南朋)岡田以蔵(佐藤健)平井加尾(広末涼子
徳川慶喜(田中哲司)勝麟太郎(武田鉄矢)桂小五郎(谷原章介)高杉晋作(伊勢谷友介)吉田松陰(生瀬勝久)
西郷隆盛(高橋克実)大久保利通(及川光博)近藤勇(原田泰造)土方歳三(松田悟志)中岡慎太郎(上川隆也)



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