黒い画集 坂道の家 1991年(平成3年) ドラマ傑作選

小間物屋を営む吉太郎(いかりや長介)は、金を貯めるだけが生きがいの堅物。
ある日、店に若い女が入って来る。財布を欲しそうに見つめる彼女の様子に、
ケチな吉太郎には珍しく、ツケでいいからと財布を渡す。
それからというもの、彼女がいつ店に来るか気になって仕方がない彼は、
とうとう待ちきれずに彼女のアパートを訪ねる。
彼女がキャバレー「キュリアス」のホステス・えり子(黒木瞳)と知った吉太郎は、
その後、足繁くキュリアスに通うようになり、次第に彼女にのめり込んでいく。
彼女に若い男がいると分かると、男から引き離すため、高台に家を借り女を住まわせ、
果ては家と仕事を捨てて、自分もその坂道の家に移る。
それでも若い男の影は消えず、吉太郎はひそかに硫酸の小瓶を買うのだった。
原作は、松本清張の短編集「黒い画集」の中の一篇「坂道の家」。
地道な商売で金をためてきた中高年の小間物店主が、二十歳そこそこのキャバレーの女に入れあげ、
家庭も商売も壊して破滅していく過程を描いた社会派サスペンス。
本作「坂道の家」は、出世欲や金銭欲を満足させると肉欲に向かい、それに捕らわれて身を滅ぼす、
という松本清張が繰り返し描く、男の転落パターンが典型的に表れた作品だ。
若い女に溺れる初老の男をいかりや長介が熱演。
しなやかに男にすり寄るしたたかな女を演じる黒木瞳も魅惑的だ。
計算高いホステス役の西川峰子もいい。
背景の昭和三十年代半ばの世相がよく出ていて、細かな描写が目を引く作品である。
(制作)TBS、オフィス・ヘンミ(原作)松本清張(脚本)葉村彰子
(配役)杉田りえ子(黒木瞳) 寺島吉太郎(いかりや長介) 寺島峰代(白川和子)山口武重(沖田浩之)
山上さゆり(西川峰子) 斉木栄造警部補 (中丸忠雄)石黒医師(北村和夫) 古賀克彦(小松政夫)
