殺意の重奏   1978年(昭和53年)       ドラマ傑作選

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三宅明(田村正和)と秋本忠雄(長谷川明男)は大手商社のエリート社員である。

二人はライバルとして将来を嘱望されていたが、秋本のほうが一足先に係長に抜擢され、

三宅はその下で働く屈辱を味わされていた。


ある夜、三宅は課長から秋本への伝言を思い出して、秋本へ電話した。

電話に出た秋本は明らかに不機嫌な声だった。電話からは女性のふくみ笑いが聞こえた。

翌日、秋本は死体で発見される。


死因は青酸化合物による中毒死。自殺か他殺かも含め、警察の捜査が開始された。




秋本の死で、係長のポストが空き、三宅の係長昇進が決定した。さらに三宅は、

秘書課の立花弓子(多岐川裕美)とも結婚。まさに前途洋々といった状況となった。


だが警察は、三宅が秋本にライバル意識を抱いていたことに着目し、「秋本が死んで

最も得をした人物」として、彼をひそかにマークし始める。



同僚の死をきっかけに職場で重用され、美しい妻を射止めた三宅だが、新妻お気に入りの曲「ひき潮」が、

殺人事件当夜の記憶を甦らせる。

三宅は、秋本を殺害したのは、実は妻の弓子ではないかと考えはじめるのだった。


一方、事件の捜査を担当する警部(小池朝雄)は、死んだ秋本と会社でライバル関係にあった三宅本人に

疑惑の目を向ける。

この小池朝雄扮する警部は、よれよれのコートに庶民臭い風貌で、まさに刑事コロンボそのままのような

演技と役柄である。


シリアスなドラマの中に挟みこまれるこの小池警部のとぼけた味わいが、程よい「和み」になっており、

パロディとしても楽しめる作品となっている。



(制作) ANB、東映(原作)森村誠一(脚本)猪又憲吾、杉本容子

(配役)三宅明(田村正和)立花弓子(多岐川裕美)秋本忠雄(長谷川明男)友田部長(成田三樹夫)

佐野課長(天田俊明)古畑警部(小池朝雄)刑事(矢吹二朗)


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