知らなくていいコト 2020年(令和2年) ドラマ傑作選
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真壁ケイト(吉高由里子)は、大手週刊誌「週刊イースト」の女性編集記者。
母・杏南(秋吉久美子)は、著名な映画評論家で、母一人娘一人で暮らしている。
母譲りの人ウケのよさで、ケイトは、仕事に恋に充実した日々を送っていた。
同じ編集部で働く春樹(重岡大毅)とは交際二年。
元カレ尾高(柄本佑)も同じ職場だが、今ではよき仕事仲間だ。
そんなある日、母が心筋梗塞で倒れたという知らせが。
病院に駆けつけたケイトに、母は父親の名前を告げて息を引き取る。
それは、誰もが知るあのハリウッドスターの名前だった…!
週刊誌記者の女性が父親に関する事実を知り、人生最大のスクープに突き当たる過程を描く。
主人公・真壁ケイトの名前の由来は、スタインベック「エデンの東」の登場人物・ケイトである。
また本作「知らなくていいコト」は、エデンの東の物語がモチーフとされている。
エデンの東は、兄のカインが、弟のアベルに嫉妬して、弟を殺害したため、神に追放された場所。
作品「エデンの東」のテーマは、そうした「疎外感」や「嫉妬心」という負の感情である。
ケイトの母親、真壁杏南はシングルマザーで、映画評論家として活躍中だった。
だが、心筋梗塞で倒れ、娘ケイトに「父親は、ハリウッドの俳優」と告げて亡くなる。
父の名にケイトは驚くが、証拠がない上に、ケイトの顔にも体格にもDNAはなさそうだ。
逆にもう一つの可能性――母の最期に残した遺品により、ケイトは自分の出生の秘密を知る。
無差別殺人の罪で25年間服役し、現在は海辺の村でひっそり暮らしている乃十阿徹(小林薫)
が父親である可能性が浮上してきたのだ。
乃十阿は元大学教授で、ケイトの母親は、学生時代に彼の指導のもとに、卒論を書いている。
卒論は、スタインベックの「エデンの東」を題材にしたものだった。
ケイトは母の卒論ノートに結婚指輪が留め付けてあるのに気づく。
そして、それが乃十阿から、母に送られたものであると知る。
父の名を告げなかったのは、ケイトに殺人犯の娘という汚名を着せたくなかったからだろう。
しかしケイトは、自分の父親は本当は誰なのか、知りたいと願う。
そしてケイトは、海辺の村に父親とされる乃十阿を訪れ、真壁杏南の娘ケイトと名乗る。
だが、乃十阿に相手にされず、追い返されてしまう。
傷つき「疎外感」に震えるケイトを抱きかかえたのは、元恋人の尾高由一郎だった。
ケイトへの愛を再燃させた尾高は、妻と別れ、ケイトと結婚する決心を固める。
妻も承諾し、愛し合う二人の前に障害はなくなったはずである。
だが、妻が家を去った日、尾高が家を覗くと、赤ん坊が独りで泣いていた。
妻は赤ん坊を置き去りにして、単身、家を出たのだった。
尾高は仰天するが、とりあえず赤ん坊を抱いて、会社に出勤。
そして結婚できなくなった事を真壁ケイトに告げる。
ケイトは、二人で赤ん坊を育てようと提案するが、尾高は、それは違うと拒む。
尾高の妻は、子供をあえて残していく事で、夫に復讐したのだった。
愛はときに、狂気を帯びた「嫉妬心」を生むのである。
(制作)日本テレビ(脚本)大石静
(配役)真壁ケイト(吉高由里子)真壁杏南(秋吉久美子)尾高由一郎(柄本佑)野中春樹(重岡大毅)
岩谷進(佐々木蔵之介)小泉愛花(関水渚)乃十阿徹(小林薫)多賀笑子(倍賞美津子)
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