白い巨塔   2003年(平成15年)       ドラマ傑作選

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外科医・財前(唐沢寿明)は、内科医の里見(江口洋介)から患者の診察を頼まれる。

財前は、その患者が初期のすい臓がんであることを見抜き、手術を引き受ける。


だが、がんを初診時に見落とした医者が医学部長(伊武雅刀)だと知り、執刀を辞退する。

里見はそんな財前に激しく詰め寄る。


「君はまさか、医学部長の手前、自分の将来を考えて降りると言っているのか?」

「医学部長に恥をかかせると、大学病院というところは、いろいろとやりづらくなる」

「医者である限り、患者の命を守るために全力を尽くすべきじゃないのか?」

「…医者は神様じゃない。人間だからな」




山崎豊子の小説「白い巨塔」の4度目のテレビドラマ化。

大学の付属病院を舞台に、医師の権力争いと医療倫理の問題を鮮やかに切り取った医療ドラマ。


財前(唐沢寿明)は、野心を持った医師であり、教授になろうと画策する。

産婦人科医院を開業している義理の父親(西田敏行)や医学部長の協力を取り付け、
札束が乱れ飛ぶ熾烈な選挙戦を僅差で制する。


教授に就任した直後、財前は胃がんの患者・佐々木庸平の手術を担当する。

だが、がんの転移を見落としたのが元で彼を死なせてしまう。

それは自身の教授としての用事の為に、精密検査を怠ったことが原因であった。


死亡した患者の遺族は、財前と病院を相手取り、医療訴訟を起こす。

だが、権威を守ろうとする大学側の証人は、財前を無罪にしてしまう。



本作は「白い巨塔」といえば田宮二郎といわれていたそのイメージに果敢に挑んだ作品でもある。

田宮二郎の財前五郎とは異なる、誠実な青年医師がやがて権謀術数の中で心ならずも変貌していく
その姿を悲劇的に描きあげている点で、別物の魅力を生み出して成功している。

   

 
(制作)フジテレビ(原作)山崎豊子(脚本)井上由美子

(配役)財前五郎(唐沢寿明)里見脩二(江口洋介)東貞蔵(石坂浩二)鵜飼良一(伊武雅刀)菊川昇(沢村一樹
財前又一(西田敏行)花森ケイ子(黒木瞳)里見三知代(水野真紀)東佐枝子(矢田亜希子)佐々木庸平(田山涼成)



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