下町ロケット 2015年(平成27年) ドラマ傑作選
佃航平(阿部寛)は、精密機械の製造・販売を行う佃製作所の社長である。
佃製作所は現在、倒産の危機に立たされていた。
身に覚えのない特許侵害の疑いで訴えられたのだ。
大手企業のナカシマ工業から訴えられ、佃製作所の評判は地に堕ち、
銀行からの融資も絶望的な状態になってしまう。
佃製作所の技術が狙いであるナカシマ工業は姑息な法廷戦略で
裁判を長引かせ、じわじわと体力を奪っていく。
そんな中、日本を代表する大企業・帝国重工から佃製作所の持つ特許を
買い取りたいとの話が持ち上がる。その金額はなんと20億円。
生きるか死ぬかの瀬戸際に立っている佃製作所にとっては、是が非でも
必要な金だが、その水素エンジンの特許には佃の夢が詰まっていた。
佃の夢は、自分が作った水素エンジンでロケットを飛ばすことだった。
だが、多数の社員の生活を抱える社長として、佃は決断しなければならなかった。
本作は「半沢直樹シリーズ」で知られる池井戸潤の直木賞受賞作品のドラマ化。
半沢直樹の様に、主人公が超人的な立ち回りを見せて事件を解決していくストーリーとは
打って変わってチーム力がモノを言う作品となっている。
元ロケット研究員の佃航平は、親の経営する町工場を継いで、順当に業績を上げて来た。
だが、大手企業に特許訴訟を仕掛けられ、更には最先端ロケットエンジンの特許を巡って
国内最大手の大企業とやり合うなど、次々と会社存続の危機に見舞われる。
ドラマでは、資金力にモノを言わせて、中小企業を自身のいいようにする大企業に対して、
佃航平が、従業員や弁護士と共に、状況打開のために奮闘する姿が描かれる。
最後は難局を乗り越え、ロケット打ち上げの夢を実現していくサクセスストーリーである。
なお佃製作所は、車のエンジンを主力とする精密機械の製造会社として描かれている。
ドラマの中で登場する水素エンジンはロケット用であり、会社内では「死蔵特許」
あるいは「お荷物」とされていた特許だった。
だが、他社から高額な条件での譲渡の申し入れがあって、はじめてその価値が認識された。
ここから「死蔵特許」というキーワードが話題になり、視聴者の注目を集めるようになった。
また同じく池井戸潤原作のドラマ「陸王」でも「シルクレイ」と呼ばれる死蔵特許が登場する。
このドラマ「陸王」は、これまで価値がないと思われていた天然素材「シルクレイ」を頼りに、
主人公たちがマラソン用のランニングシューズを開発して一発逆転を狙う物語である。
(制作)TBS(原作)池井戸潤(脚本)八津弘幸
(配役)『佃家』佃航平(阿部寛)佃利菜(土屋太鳳)佃和枝(倍賞美津子)
『佃製作所』殿村直弘(立川談春)山崎光彦(安田顕)津野薫(中本賢)唐木田篤(谷田歩)迫田滋(今野浩喜)埜村耕助(阿部進之介)
川本浩司(佐野岳)立花洋介(竹内涼真)江原春樹(和田聰宏)加納アキ(朝倉あき)鈴木健児(堀井新太)
『白水銀行』柳井哲二(春風亭昇太)根木節生(東国原英夫)『弁護士』神谷修一(恵俊彰)田辺弁護士(阿藤快)中川京一(池畑慎之介)
『ナカシマ工業』三田公康(橋本さとし)『帝国重工』財前道生(吉川晃司)藤間秀樹(杉良太郎)『JAXS』和泉沙耶(真矢ミキ)