鈴木先生 2011年(平成23年) ドラマ傑作選
鈴木章(長谷川博己)は、緋桜山中学校2年A組の国語教師である。
彼は、独自の教育理論により、理想のクラスを作るべく日々奮闘している。
そんなある日、衝撃的な出来事が鈴木先生を襲う。
クラスの男子生徒が、小学4年生の少女を無理やりレイプするという事件が発生したのだ。
その日の放課後、学校へやって来た少女の母親に、担任である鈴木先生が対応する。
母親は、問題の男子生徒を非難し、また学校側の責任を追及するのだった。
平凡な教師が、学校内で起こる問題や事件を、独自の教育理論により解決していく姿を描く。
問題を起こした男子生徒は、少女をレイプしたのではなく、お互い合意の上だったと主張する。
その少女は、母親に問い詰められたため、レイプされたのだと言い訳していたのだった。
鈴木先生は「性交渉をしても良い年齢は、実年齢ではなく、精神年齢だ」とした上で、
「問い詰められて噓の言い訳をするのは、精神が未熟な証拠」と、男子生徒に告げる。
精神年齢とは、相手を理解し、自分に責任を持ち、自ら判断できる心の年齢である。
人間は、精神や肉体の性差を持つかぎりにおいて、異性に惹かれ、好意を抱くことは、
自然なことだが、実際には、法律や道徳で、性交渉を行う年齢は制限されている。
それは、精神的な自立があってこそ、社会や集団が円滑に機能するという考えからだ。
その男子生徒は「二人とも精神的に未熟だったのか」と非を認め、母親に謝罪するのだった。
鈴木先生は、金八先生のように立派な理想の教師ではない。
ごく平凡な人生を歩み、たとえば、生徒と同じ目線で会話をしたり、30代になっても
合コンで恋人探しをしたりと、相当に人間臭い教師なのである。
だが彼は、一見普通に見える生徒たちほど、心の中には鬱屈したものを抱えていると考え、
彼らの心の中を改革することにより、理想のクラスを作り上げようとしているのだ。
本作は、あからさまに踏み込んだ性の問題や、疎外される生徒の置かれた立場と苦悩、
それらの解決策を見出そうと奮闘する教師と生徒の姿を描いた学園ドラマの傑作である。
(制作)テレビ東京、アスミック・エース(原作)武富健治(脚本)古沢良太
(配役)鈴木章(長谷川博己)秦麻美(臼田あさ美)山崎潔史(山口智充)桃井里香(田畑智子)川野達郎(でんでん)
足子瞳(富田靖子)小川蘇美(土屋太鳳)中村加奈(未来穂香)岬勇気(西井幸人)出水正(北村匠海)