たとえば、愛 1979年(昭和54年) ドラマ傑作選

九条冬子(大原麗子)は、ラジオ深夜放送のDJ。
13年のキャリアを持ち、二年前に離婚している。
その冬子が、広告代理店の課長・高井五郎(津川雅彦)と再婚することになった。
ところが式の前日、ディレクターの三国(三田村邦彦)から冬子は、彼女の前夫
である工藤六助(原田芳雄)が式に出席すると聞かされ驚く。
前夫の六助は、式ばかりでなく、新婚家庭にも平気で出入りする。
神経の図太い前の夫、神経質でお人好しの現在の夫、対照的な二人を前に、
冬子は、男の持つ優しさとは何だろう、真実の愛とは、と考え込む。
前夫と再婚相手との間で揺らぐヒロインの葛藤を描いたものだが、脚本の倉本聡が
劇中でジョークを連発し、それがシリアスなドラマの息抜きとなっている。
たとえばヒロインの大原麗子が、再婚相手の津川雅彦と結婚する前夜に見た夢が
教会で行われる二人の式に、前夫の原田芳雄が乱入するシーン。
これは、1967年のアメリカ映画「卒業」のパロディとなっている。
あるいはまた前夫の原田は、出版社に勤めていて、直木賞をねらっているが、
彼が書いている小説の題名が、何と「たとえば、愛」
(制作)TBS、東通 (脚本)倉本聡
(主題歌)豊島たづみ「とまどいトワィライト」(作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童)
(配役)九条冬子(大原麗子)工藤六助(原田芳雄)高井五郎(津川雅彦)三国乙彦(三田村邦彦)
九条いりか(石田えり)工藤章子(萩尾みどり)山口リスコ(桃井かおり)九条大吉(ハナ肇)
