天下御免 1971年(昭和46年) ドラマ傑作選
平賀源内(山口崇)は、日本のレオナルド・ダ・ヴィンチと言われるマルチな天才発明家である。
あるとき源内は、高松藩の城主に呼ばれ、サトウキビ栽培ができるか問われる。
だが源内は足軽という下層の身分。畏れ多くも城主様に直接言上は許されない。
そこで、城主の両脇にずらり居並ぶお歴々が、伝言ゲームのように順番に耳打ちして
源内の言を城主に伝えるのであった。
やがてサトウキビ栽培に成功した源内は、褒美に長崎留学をせしめる。
だが源内には、女好きだが凄腕の剣士・右京之介(林隆三)がお目付役として張り付く。
そのほか留学に同行するのは、源内の婚約者・紅(中野良子)と、その弟・八万(山田隆夫)。
一行は、高松をあとにして長崎に入るのだが、その入口の関所で踏み絵をさせられる。
だがマリア様が女性なので、右京之介が踏むのをしぶる。
そのため、源内ら一行は、キリシタンと間違われて牢屋に投獄されてしまう。
源内の提案で改宗すれば釈放されるはずと、役人に「おーい転ぶぞ」と叫んでみる。
日本の神々に誓うことになるが、いい加減な誓いをして、ますます役人を怒らせてしまう。
結局身元引受人の商人(犬塚弘)に助けられるのだが、この商人には大変な秘密が…。
天才発明家・平賀源内を主人公に、江戸時代のゴミ問題や公害問題、受験戦争等を
風刺しながら取り上げて難事件を解決してゆく痛快時代劇。
映像を早送りしながらの伝言ゲームや、新幹線の登場など、時代考証を度外視した
斬新な演出が大きな話題を呼び、平均30%に迫る視聴率を獲得した。
「白髪の源内ではつまらない」と、若者の設定にして山口崇が演じ、小野右京之介役の
林隆三と、稲葉小僧役の秋野太作でトリオを結成。
ヒロインの武家娘・紅は、NHK初出演の新人・中野良子が演じ、華やかな色を添えた。
源内たちの江戸入りシーンでは、始まって間もない銀座の歩行者天国でロケを行い、
江戸時代のスタイルで闊歩する源内たちに驚く通行人の様子もそのまま撮影。
歴史上では獄死したとされる源内だが、最終回では気球に乗ってフランスに亡命、
最後まで予想のつかない展開で、自由人の源内を描き切った。
(制作)NHK(脚本)早坂暁
(配役)平賀源内(山口崇)小野右京之介(林隆三)稲葉小僧(秋野太作)紅(中野良子)八万(山田隆夫)
松平頼恭(竜崎勝)杉田玄白(坂本九)田沼意次(仲谷昇)商人(犬塚弘)ナレーター(水前寺清子)