天までとどけ   1991年(平成3年)       ドラマ傑作選

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丸山家は、父・雄平と母・定子(さだこ)をはじめ、12人の子供がいる14人の大家族。

公営住宅の3DKに14人が暮らす丸山家の食卓やトイレは毎日が戦場だ。


長女の待子(まちこ)は、母と一緒に弟や妹の面倒をみることに毎日が手一杯。

高校二年の彼女は、12人兄弟であることに内心不満を感じている。


というのも、高校では丸山家が14人の大家族であることが分かると、

クラスメイトから「ええっ! 信じられない!」という声が挙がるからだ。


男子生徒からは「お前んちの親は好きだなぁ」と言われる始末だった。




そんな思春期の待子の恥ずかしさとは裏腹に、母・定子に13人目の赤ちゃんができたことが分かる。


一方、父・雄平の勤め先である毎朝新聞の社内では、丸山家の現状を見かねた同僚たちが作成した

「不要になった古着は丸山家へ」という社内報が回っていた。

すぐに本社や全国の支局から宅急便が続々と届き、たちまち丸山家の家は古着の山に…。



丸山家の夫婦と子供たちが力一杯生きていく姿を描いた子だくさんホームドラマ。

核家族化の風潮に反して大家族主義を謳歌する新聞記者の家庭を舞台にしている。


12人の子供がひしめきあう大家族ならではの問題を、高校生の長女の目を通して

ユーモラスにスケッチしているが、彼女自身の青春の軌跡も織り込まれている。


本作は、実在の新聞記者一家の記録を描いた同名の原作を元に、脚本の布勢博一が

再構成したドラマだが、この丸山家の夫妻は、子供たちに面白い命名をしている。


たとえば五人目は「五郎」六番目は「六都子(むつこ)」などと、生まれ順に数字が入っている。

ところが四人目までは「正平」「待子」などと、父母の名前を踏襲している。


これは「初めはこんなにたくさん生むつもりはなかった」というリアリティが感じられ興味深い。


本作は、1991年3月の番組スタート以来、1999年4月まで、8シリーズを数えるロングランを続け、

シリーズの最高視聴率19%という、昼のドラマとしては驚異的な高視聴率を記録し話題となった。



(制作)TBS、東阪企画(原作)各務英明、坂井清(脚本)布勢博一

(主題歌)川越美和「涙くんさよなら」(作詞作曲:浜口庫之助)

(配役)丸山定子(岡江久美子)丸山雄平(綿引勝彦)長女・待子(若林志穂)次女・六都子(滝沢幸代)

三女・七穂子(一瀬奈織)四女・八菜子(山田飛美)五女・十実子(藤井ひと美)長男・正平(高尾晃市)

二男・信平(河相我聞)三男・公平(金杉太朗)四男・五郎(須藤公一)五男・九(湯澤真伍)

六男・十郎(日吉考明)七男・士郎(蛭田順也)八男・十次郎(中村端樹)


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