東京の秋 1985年(昭和60年) ドラマ傑作選

東京のマンションに住む有坂家は、長男・彰良(三田村邦彦)が結婚して独立し、両親と娘の三人暮らし。
父・慶司(露口茂)は、大手商社の部長、母・紀子(岸恵子)は主婦、娘・実穂(古手川祐子)は
都内の銀行に勤めている。
ある日、実穂は、両親と美術館に出かける。そこで偶然、父の会社の重役夫婦に出会った。
それが見合いの伏線だなどとは実穂には想像もつかないことだった。
兄・彰良から、実は両親が離婚寸前で、別れる前に、娘の実穂だけは嫁がせておこうとしているのだと聞き、
実穂は何だかバカにされているような気持ちになるのだった。
そんなある日、実穂は六本木で、干場誠次(沖田浩之)という青年に声をかけられる。
お互いに好意を抱いた二人は、その後、何回かデートを重ねるようになる。
そして、所沢にある誠次の家に遊びに行った実穂は、実は誠次の家は元農業で、土地を売って莫大な金を得た
土地成金一家だということを知り驚く。誠次はその成金一家の次男坊だという。
やがて、二人の意思とは無関係に、周囲が勝手に結婚間近と決めつけ、お互いの「家」同士が動き始める。
まず、誠次の兄・久松(加藤健一)と、母・幾子(奈良岡朋子)が、実穂の家を訪問し、そのあと引き続き、
実穂の家から一家三人で答礼訪問した。
その席で、誠次の父・信吉(佐藤慶)は、土への愛情をとつとつと語るのだった…。
東京のエリートサラリーマン一家と、埼玉・所沢の土地成金一家の生活を対照的に描きながら、仕事のために
あるいは仕事を失くしたために「愛」を見失いそうになっている人々の姿を浮き上がらせている。
とりわけ物語の後半、誠次の父・信吉が、心の触れ合いの大事さを語るシーンが秀逸。
田畑を手離してしまった信吉が、自分の妻だけは絶対離さないと力説するのを見て、離婚を目前にした
エリートサラリーマン夫婦が、何とか夫婦の危機を脱しようとするくだりは、なかなか説得力があった。
露口茂、岸恵子、そして佐藤慶といった芸達者がずらりと揃い、それぞれ深みのある演技を披露している。
(制作)TBS(脚本)山田太一
(配役)有坂慶司(露口茂)紀子(岸恵子)実穂(古手川祐子)有坂彰良(三田村邦彦)亜耶子(賀来千香子)
干場信吉(佐藤慶)幾子(奈良岡朋子)久松(加藤健一)誠次(沖田浩之)弘美(東てる美)新平(庄司顕仁)
