東京五人男 1946年(昭和21年) 邦画名作選
終戦後、東京に戻り、焼け野原となった惨状を目の当たりにした五人の男。
彼らは、東京の復興に力を入れようと考える。だが世間の風は世知辛かった。
泥棒が多発し、配給所は規則で縛られ、行政はお役所仕事。
だが、苦労をもろともせず、あの手この手で図太く、たくましく生きる彼らだった。
終戦後、東京は空襲によって一面の焼け野原となったが、本作は、この見渡す限り焦土と
化した東京を舞台に、敗戦直後に制作された、まさに記録として貴重な作品となった。
焼け野原でのバラック生活、配給を待つ人々の行列、裕福となった農家の様子も描かれる。
主人公を演じる古川(古川緑波)は、食糧を手に入れようと農家へと出向く。
すると向こうから紙飛行機が飛んでくる。よく見ると、紙飛行機は百円札で折られたものだ。
金のあまった農家の子供が、飛ばして遊んでいるのだった。
目当ての農家に着くと、古川は食糧を分けてもらおうと腕時計を差し出す。
すると農家の主人(高勢実乗)は、背広の腕をまくって見せる。もう三個も腕時計をしている。
この時代、都会から田舎へ、食糧の買い出しに来る人間が多かったため、農家が急に金持ちに
なった現実を風刺した苦い笑いの場面である。
製作 東宝
監督 斎藤寅次郎
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配役 |
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古川六郎 |
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古川緑波 |
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石田松男 |
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石田一松 |
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軍需工場の社長 |
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鳥羽陽之助 |
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横山辰五郎 |
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横山エンタツ |
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北村権太 |
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柳家権太楼 |
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酒場の主人弁造 |
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永井柳筰 |
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藤木阿茶古 |
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花菱アチャコ |
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強欲な百姓 |
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高勢実乗
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善良な百姓 |
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高堂国典 |