トップ屋 1960年(昭和35年) ドラマ傑作選
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トップ屋木村(丹波哲郎)は「週刊世相」のデスク釜谷(野々村潔)から仕事を依頼される。
投身自殺したバーホステス、六条伊都子について取材してくれ、というものだった。
監察医病院に電話したところ、死体は大学病院で解剖されているという。
これは自殺ではない、と木村は思った。
死体を解剖するのは、他殺もしくは他殺の疑いがある時だけだ。
さらに伊都子の遺品は、彼女の死が自殺でないことを裏書きしていた。(第一回 偽装殺人)
トップ屋とは、週刊誌にトップの特集記事を売り込むライターたちのことである。
彼らは事件を追って危険を冒し、時には非合法スレスレの線で行動することもある。
それはサスペンス・タッチのアクションドラマの主人公にはうってつけといえる。
本作は、こうしたトップ屋に焦点を合わせ、その生態とトップ屋を通じて、社会の
数々の矛盾やゆがみを浮き彫りにしようと試みている。
主演の丹波哲郎は、新東宝の大部屋俳優だったが、態度がデカかったため、1959年に
会社をクビになり、この当時はフリーだったらしい。
そんな彼を主人公に抜擢したのが、フジテレビのディレクター・五社英雄だった。
ソフト帽をあみだにかぶり、コートを無造作にひっかけた丹波のヤクザっぽい姿が
しがないトップ屋にぴったりで、彼はたちまち人気を得た。
ちなみに、主題歌「トップ屋」や挿入歌「俺がやらなきゃ」も丹波が歌っている。
(制作)フジテレビ(脚本)島田一男
(主題歌)丹波哲郎「トップ屋」(作詞:白鳥朝詠、作曲:沢田駿吾)
(配役)木村三郎(丹波哲郎) 東京ニュース通信局長・石丸圭子(水の也清美)田上伝吉(梅津栄)
釜谷(野々村潔)奈々子(阿部寿美子)高子(江畑絢子)
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