とっておきの青春 1988年(昭和63年) ドラマ傑作選


六年前に妻を亡くした男盛りの林雄平(緒形拳)にとって、この世でいちばん気になる、そして最愛の女性は、
年ごろの一人娘・郷子(斉藤由貴)である。
祖父(小沢栄太郎)と親子三世代、水入らずの暮らしだが、雄平には人目を忍ぶ仲の由美(高橋恵子)がいる。
長姉(山岡久乃)が次々に持ち込む再婚話もあるが、それらをにべもなくはねつけるのは、由美がいるからだ。
悠々自適の祖父は、オートバイで温泉地巡りを楽しんでいたが、ある日突然、東北の養老院に入ると爆弾宣言。
平和だった柿の木坂の林家がにわかに騒がしくなった。
三者三様の巣立ちの季節が、どうやら近づいて来ているようだ…。
ちょっと古風で明るい娘を、斉藤由貴が愛くるしく演じている。緒形拳の父親像も魅力があって好感が持てる。
本作の見どころは、父と娘の仲睦まじさ、きずなの強さ、そして会話が楽しいことだ。
生活のにおいも、たっぷりと伝わって来る。
たとえば、娘役の斉藤由貴が、入浴中の父親の着替えの支度を整えたり、おかわりするミソ汁を
温めたりするところに、それらは感じられる。
きわめつけは、親子喧嘩だ。
父親役の緒形拳が、テーブルを前に水割りを飲むシーンがあった。
その水割りをつくるとき、緒方は由貴の背中に、アドリブで氷を入れてしまった。
冷たさに悲鳴をあげて跳び上がった由貴は、反撃に出て氷をぶつけ、二人は「恋人」みたいにジャレ合う。
むろんこの二人の演技も、由貴の悲鳴もアドリブで、台本にはなかった。
が、二人の演技がとても自然だったたため、スンナリと放送でも使用することになったという。
一方、祖父を演じる小沢栄太郎は、78歳の設定だが、40も年下の子持ち女とデキちゃうという役どころ。
小沢は、その相手の女の赤ん坊をオンブして「ワッハッハッ」と、すこぶる楽しそうだ。
「このドラマでいちばん魅力的なのは、小沢のおじいちゃんかも …」とは斉藤由貴の感想 (´○`)。
(制作)NHK(脚本)井沢満
(配役)林郷子(斉藤由貴)林雄平(緒形拳)林今朝次(小沢栄太郎)一子(山岡久乃)留子(河内桃子)
雑賀由美(高橋恵子)田ノ上旬介(唐沢寿明)鈴木和男(光石研)花井多代(姿晴香)
