土と兵隊   1939年(昭和14年)     邦画名作選
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1937年(昭和12年)7月、北京の盧溝橋で日中両軍の武力衝突が発生した。

現地部隊を支援するため、日本陸軍は、三個師団の現地派遣を決定する。

三個師団は第10軍として輸送船に乗り込み、杭州湾から上陸する事になった。

玉井伍長(小杉勇)の指揮する第二分隊も、この第10軍に所属している。


玉井伍長は、13名の部下とともに、船に乗り込み上陸開始の時を待っていた。

部下たちは緊張のあまり、上陸開始まで眠ることができずにいた。

やがて輸送船が杭州湾に上陸、兵士たちは船を下りた。

その瞬間、敵の機関銃の音が響き、玉井分隊は直ちに応戦の体制を採った。



1938年、総合雑誌「改造」に掲載された芥川賞作家・火野葦平の同名小説の映画化。


本作は公開後、文部省推薦映画に指定され、小中学校の講堂で巡回上映された。

だが上映後、児童たちに感想を聞くと「戦争はちっともカッコよくない」だった。

それもそのはず、映画の大半は、兵隊たちが疲労困憊しながら、果てしも無い泥道を
ただひたすら歩き続けるという場面ばかりだったからだ。


勇ましい戦闘シーンなどは登場しない。田坂具隆監督は本作で、中国本土を行軍する
兵隊たちの苦労や戦友同士の助け合いの姿を延々と綴ったのである。


だが実際、日本軍が現地で、現実に行っていた残虐行為や略奪暴行の描写は無かった。
もちろん、そうした描写は検閲で禁じられていたからである。


本作のような中国侵略肯定の立場で作られている作品を、名作と言う訳にはいかない。

とはいえ、勇ましいだけの安易な好戦映画が多かった当時としては珍しく、カッコいい
ばかりでない戦争のもう一つの面に迫ろうと、真面目に努力した作品だったとは言える。



 
 
 製作   日活

  監督   田坂具隆(たさかともたか)  原作 火野葦平

  配役    玉井伍長 小杉勇 清水大尉 山本礼三郎
      坂上二等兵 井染四郎 荒川部隊長 東勇路
      工兵中尉 見明凡太郎 今村准尉 佐藤円治
      小林伍長 伊沢一郎 山崎少尉 荒木重夫

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