追跡   1955年(昭和30年)       ドラマ傑作選

直線上に配置





警視庁捜査課の春日(安部徹)は、部下の三沢(小泉博)と共に砂糖の密輸組織を追っていた。


密輸の一味は神出鬼没で、東京に現われるかと思うと、大阪に現われる。


警視庁は今回、東京と大阪に「密輸対策課」を新設した。捜査態勢を強化して税関や

海上保安庁との連携を進め、密輸品の侵入を水際で食い止める狙いだった。


やがて捜査線上に、ダディエ・早川(二本柳寛)という一味のボスの名前が挙がったが、

それ以上のことは不明であった。




東京、大阪をまたにかけて暗躍する密輸団を刑事が追い詰めるというドキュメンタリータッチのドラマ。


密輸団のボスに扮したのが二本柳寛、その手下に芦田伸介、それを追う刑事に小泉博、上司の課長には

安部徹、大阪府警の警部に原聖四郎らの出演であった。


東京、大阪のスタジオと月島、道頓堀の計四か所を結び、一つのスタジオドラマのように制作したもので、

これに要したカメラは11台、スタッフ総勢295人という大掛かりなものとなった。


この四つの離れた場所を同時に結ぶ生中継の手法は、ドラマでは初めての試みであり、テレビの特質

である同時性を生かしたものとして話題になった。


しかし生中継ゆえに、本番ではやはり不測の事態が相次いでてんやわんやに。

大阪の道頓堀のロケでは、わずか三分という犯人と警官との格闘シーンがあった。


だが、いざ本番というところで、見物客がワッと押しかけて大騒ぎに。

警官役の俳優たちが整理にあたって、何とかこのピンチを切り抜けたという。



(制作)NHK(脚本)内村直也

(配役)春日捜査課長(安部徹)三沢巡査部長(小泉博)井上課長(恩田清二郎)石田警部(原聖四郎)

ダディエ・早川(二本柳寛)^森(芦田伸介)マダム花子(広岡三栄子)千栄子(喜多川千鶴)


直線上に配置