つくし誰の子 1971年(昭和46年) ドラマ傑作選
夏目遊(池内淳子)は、下町にある小さな弁当屋を切り盛りする女主人。
しっかり者の彼女には、血のつながっていない四人の子供がいる。
彼女は、義理の母として、孤児だった子供たちを引き取ったのだった。
今から十数年前、遊は一人の青年と愛しあい、子供まで生まれた。
だが、相手の両親が結婚を許さず、二人は別れ別れになってしまった。
生まれた子供は、他所へ貰い子として預けられ、それっきりになっていた。
その償いの意味で、遊は四人の子供を引き取り、献身的に育ててきたのだった。
下町の弁当屋を舞台に、義理の母と子供たちとの心のふれあいを描いた人情ドラマ。
血のつながりのない寄せ木細工のような一家に「家族愛」は芽生えるかどうかが
本作のテーマだった。
過去に産んだ子供を手放さねばならなかった贖罪感から、身寄りのない子供四人を
引き取り、養子にしたのだが、やがて実の子以上に愛情を注ぐようになる。
当時は、親子や世代間の断絶といった言葉が流行していたが、そんな時代にあって
血縁を超えた母子の心の通い合う姿は、視聴者の共感を大いに呼び起こした。
本作は好評を博し、その後も舞台を手芸店や旅館に変えて、シリーズ化された。
(制作)NTV(脚本)橋田壽賀子(番組)月曜スター劇場
(主題歌)近藤正臣「つくしの子守歌」(作詩:橋田寿賀子、作曲:伊部晴美)
(配役)夏目遊(池内淳子)昭(近藤正臣)八重(沢田雅美)久代(石崎恵美子)
正(みのわ俊)青木大造(ハナ肇)坂口せん(園佳也子)