未知の世界(トワイライト・ゾーン) 1960年(昭和35年) ドラマ傑作選
ジャネットは、顔に包帯を巻かれて病院のベッドで回復を待っている。
生まれついての醜い顔のために、これまで整形手術を繰り返してきたのだ。
彼女はただ人並みに暮らしたいと願うだけだ。
だが、今回行なった手術は、法律で許されている最後の手術だった。
この手術が失敗すれば、彼女は施設に強制収容されることになってしまう。
やがて、彼女の顔の包帯が取れる日がやってきた。
包帯が1枚、また1枚と解かれていく。そして、最後の1枚が解かれた。
「また失敗だ!」という医者の声が聞こえる。
だが不思議なことに、我々が目にしたジャネットの顔は美しい。
そしてカメラが、これまで何故か画面に撮されなかった医者や看護婦をとらえる。
すると、なんと彼らはすさまじい宇宙人のような醜い顔をしている。
美と醜の価値判断が逆転したこの世界こそトワイライト・ゾーンだと、
ホスト役のサーリングが顔を出して説明する。
本作は、空想力によって生み出された衝撃的な物語を集めた一話30分のTVシリーズ。
1950年代末から60年代にかけて世界中で大ヒットし、多くのSF作家や映像作家に
影響を与えた、SFミステリー不朽の名作である。
脚本は、SF映画「猿の惑星」の脚本家としても知られるロッド・サーリング。
本作では、脚本のほかに企画、製作、さらにホスト役も手掛けている。
サーリングの作品には、奇抜なドンデン返しで驚かせるトリッキーなものが主体だが、
メッセージ色の濃い社会派ドラマも多い。
たとえば、作品「疑惑」では「人間に化けた宇宙人が街に潜入した」というデマで
人々が互いに疑惑の目を向け合い、遂には殺し合いに発展するという話で、50年代の
赤狩りに対する痛烈な批判となっている。
未知の世界(Twilight Zone)(制作)CBS(アメリカ)(放映)NTV
(配役)ジャネット・タイラー(ドナ・ダグラス) (声:向井真理子)
看護婦(ジェニファー・ハワード)(声:林洋子)ドクター(ウィリアム・ゴードン)(声:横森久)
スミス(エドソン・ストロール)(声:田中信夫)ホスト(ロッド・サーリング)(声:堀井真吾)