迂回路 2003年(平成15年) ドラマ傑作選
東京都内の宝石店である夜、時価一億円相当の宝飾品が盗まれた。
高価なものばかりで、プロの仕業と思われた。
海堂刑事(内藤剛志)は、捜査を進めるうちに、5年前に退職した先輩刑事・樋口(夏八木勲)が
店の警備を務めていたことを知る。
刑事の心構えを教えてくれた樋口は、かつて警察の内部事情を暴力団に売ったことがある。
金の受け渡し現場を目撃した海堂は、樋口を許すことが出来ず、樋口の娘・栞(斉藤慶子)との
婚約を解消したのだった。
今回の窃盗事件と並行して、経営コンサルタントの青山(天宮良)が自分の事務所で殺害される。
殺害された青山は栞の婚約者だったが、警察は第一発見者である栞に容疑をかけ取り調べを始める。
海堂は、この二つの事件は関連しているのではないかと疑う。
これまで悪役が多かった内藤剛志だが、この「火曜サスペンス劇場」から刑事役が定着したと言える。
内藤は、見るからに現場の叩き上げというイメージがあり、彼の短く刈り込んだヘアスタイルも、
実直で硬派な印象を与えている。
本作は、そんな硬派一辺倒の刑事であるがゆえに、理由を言わずに婚約者と別れてしまったりする。
また一方、彼の元先輩刑事も、不正に手を染めた本当の理由を言おうとしない。
彼らは「言い訳は見苦しい」と考え、自分だけでなく、他人に対しても厳しい目を向けてしまうのだ。
見ている視聴者のほうは、何とももどかしく、切ない気持ちにさせられてしまう。
本作は、主演の内藤、夏八木、斎藤、それぞれの演技が余韻を残し、複雑な事件の背景と相まって、
上質の人間ドラマに仕上がっている。
(制作)日本テレビ、フューチャー・プラネット(原作)香納諒一(脚本)坂上かつえ
(主題歌)安全地帯「出逢い」(作詞:松井五郎、作曲:玉置浩二)
(配役)海堂岳夫(内藤剛志)樋口淳一郎(夏八木勲)樋口栞(斉藤慶子)青山圭祐(天宮良)
谷口晴代(山口美也子)真鍋警視(山田辰夫)磯部隆子(絵沢萌子)筒井組員(千葉哲也)
杉浦(春海四方)遠藤智子(橘ゆかり)好美(小野真弓)