美しい人   1999年(平成11年)       ドラマ傑作選

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整形外科医の岬京助 (田村正和) は、大学病院を辞めて美容外科病院を開業した。


ある日、京助の前に、謎の女性・みゆき (常盤貴子) が現れる。


彼女は「整形手術で顔を変えてほしい、顔はどんな顔にしてもいい」と懇願する。


理由は、暴力を振るう夫(大沢たかお)から逃れるため顔を変えたいという。


岬は、みゆきの顔を事故で亡くした自分の妻とそっくりの顔にしてしまう。






主人公は、最愛の妻を飛行機事故で失い、残された娘と二人暮らしの美容外科医。

そこにやってきた、顔を整形して人生をやり直したいという女性。

過去を抱える男女が惹かれ合っていくサスペンスタッチのラブストーリー。



90年代、脚本の野島伸司の作品の中には、過剰に「母性」の強いヒロインが多く登場する。

そして母性本能の根底にある重要な要素は、相手の弱さに感応する「感情移入」だと野島は語る。


本作は、DVを題材にしており、大沢たかお演じるDV男がドラマのキーパーソンとして登場する。

一般にDV男は、精神的な弱さを抱えた者が多く、自分が好きなように振る舞える相手を好む。


反面、暴力を振るった後は「俺にはお前しかいない」など母性を刺激するような発言が目立つ。

そんな姿を見放しておけないという母性本能から、DVに苦しみながらも離れられなくなるのだ。




一方、田村正和演じる主人公も、亡くなった妻が忘れられないという精神的外傷を抱えていた。

外科医である彼は、DVの夫から逃れてきたヒロインに、亡き妻の顔に似せる手術をしてしまう。


彼にとって愛する妻と同じ顔を持つヒロインは、心の隙間を埋めてくれる心安らぐ存在となる。


ヒロインもまた、これまでの人生とは違う、彼との穏やかな暮らしに惹かれ始める。

だが、妻に似ているから愛されているのだろうか、その偽りの関係に心の葛藤を感じ始める。



最終回、ヒロインは、自らを愛されることよりも、これ以降は、亡き妻の身代わりとして、
主人公を支えて生きていく事を決意する。

それはまさに、庇護すべきものを前にした「母性愛」の発露と言えるものであった。
   

 
(制作)TBS(脚本)野島伸司

(配役)岬京助(田村正和)村雨みゆき(常盤貴子)村雨次郎(大沢たかお)岬圭子(内山理名)
石野朝美(森下愛子)小久保篤(柳沢慎吾)門倉純(池脇千鶴)田辺政喜(綿引勝彦)山内晃一(上野潤)



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                       L'aquoiboniste(Jane Birkin)



  C'est un aquoiboniste Un faiseur de plaisantristes

Qui dit toujours a quoi bon A quoi bon

Un aquoiboniste Un modeste guitariste

Qui n'est jamais dans le ton A quoi bon

C'est un aquoiboniste Un faiseur de plaisantristes

Qui dit toujours a quoi bon A quoi bon

Un aquoiboniste Un peu trop idealiste

Qui repete sur tous les tons A quoi bon
 
   
       
       
  無造作紳士(ジェーン・バーキン)


いつも無駄だと主張したがる 悪ふざけが好きな人なの

いつも言う「そんな事をして何になるの?」


いつだって無駄だと主張したがる さえないギタリスト

いつだって調子っぱずれ「そんな音出して何になるの?」


すべて無駄だと主張したがる 少し理想主義の人

すべて同じ口調で言う「そんな事をしてどうするの?」