ダブルフェイス 2012年(平成24年) ドラマ傑作選
暴力団・織田組で働く森屋純(西島秀俊)は、組長の片腕と一目置かれる存在だ。
だが彼は、実は警察官でありながら、織田組に潜入し、織田組の一員として、
すでに6年の年月を過ごしてきた。
警察への復帰を懇願するも聞き入れられず、自分の真の身分を知っているのは上司の
小野寺警視正だけであり、そのデータを抹消することもできるのだと脅かされ、
已む無く潜入捜査を続けているのだ。
今や彼は、警察官と暴力団員という二つの顔を持ち、どちらが本当の自分なのか?
自分は悪人なのか善人なのか?と自問自答し、葛藤を繰り返す日々であった。
そんなある日、森屋に一縷の望みを抱かせる情報が飛び込んで来た。
近々、織田組が大きな麻薬取引を行うとの情報を得たのだ。
警察が麻薬の取引現場を押さえ、織田組を一網打尽にできれば、森屋はいよいよ
警察官に戻れるはずであった…。
暴力団の幹部になっている警察官・森屋純(西島秀俊)と、表向きは警察官だが
実は暴力団の幹部・高山亮介(香川照之)のダブル主人公である。
この二人はそれぞれ警察と暴力団から、内通者として潜り込んだスパイなのだが、
スパイ捜しが始まり、森屋と高山が神経をすり減らす様子が見所となっている。
何かと緊迫感に溢れたドラマだが、本作は前編と後編の2部作となっており、
前編は、警察に戻りたがっている森屋の悲哀が色濃く描かれている。
時折見せる彼のやりきれなさの影、本当の自分が見えなくなる不安、そして正体を
暴かれることへの恐怖が、陰影のある映像で綴られており、片時も目を離せない。
本作は、単なるサスペンスではない人間ドラマとして見応えのある一作となっている。
(制作)TBS、WOWOW(脚本)羽原大介
(配役)森屋 純(西島秀俊)高山亮介(香川照之)小野寺警視正(角野卓造)ヒロシ(伊藤淳史)
西田奈緒子(和久井映見)織田大成(小日向文世) 織田麗子(伊藤かずえ)