わたしはY(あき)   1974年(昭和49年)       ドラマ傑作選

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明治五年、函館。老舗旅館・越後屋の店先に、一人の少女がたたずんでいた。

少女の名はY(あき)十歳。奉公先の居酒屋「えびす屋」で毎日こき使われ、

たまりかねた彼女は、店を飛び出して吹雪の中をやって来たのだった。


越後屋の主人の計らいで、Yはジョーンズ家に預けられる。

ジョーンズ氏と、千代夫人の愛に育まれたY(萩尾みどり)は、十八歳の

美しい娘に成長していた。

彼女の心にはいつしか、原野でみかけた、馬で駆ける片岡荘之助(夏木陽介)

の姿が入り込んでいくのだった。



そんな幸せも束の間、彼女を育ててくれたジョーンズ夫妻は相次いで亡くなり、

Yはまた一人ぼっちになってしまう。


やがてYは、片岡家の娘・弓子(柿崎澄子)の養育係として働くことになる。

はじめ一向になじまなかった弓子も、次第に心を開いていった。


海運商社を経営する片岡家の当主・荘之助は、女子供を相手にしないくらい

仕事一筋であった。

だがYは、そんな荘之助に惹かれてゆくのだった…。



寺内小春のオリジナル脚本。幼くして両親を失い、育ての親の外国人技師夫妻とも

死に別れた娘が、豪商の娘の養育係になる物語。


ヒロインの萩尾みどりは、カエルの解剖などに忙しい千葉大理学部二年の現役女子大生。

女子大生美人コンテストで準ミスとなり、TBSのプロデューサーの目に留まったが、

演技経験はなかった。それでも留年覚悟でこの大役を引き受けたとか。


ドラマの挿入歌では、ピアノの弾き語りを披露するなど多才な一面も見せている。

共演は、夏木陽介、山本亘、美川陽一郎ら、芸達者なベテラン陣が脇を固めた。



(制作)TBS(脚本)寺内小春

(配役)Y(天野美保子/萩尾みどり)片岡荘之助(夏木陽介)たか(田島和子)

弓子(柿崎澄子)医者(山本亘)亀蔵(美川陽一郎)


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