ずっとあなたが好きだった 1992年(平成4年) ドラマ傑作選
西田美和(賀来千香子)は、都内の結婚式場に勤務するアラサーのOL。
あるとき縁談が持ち上がり、美和はエリートの冬彦(佐野史郎)と見合い結婚する。
二人の新婚生活が始まった。最初の朝食後に冬彦は笑みを浮かべながら美和に言った。
「味噌汁はひどかったね。味噌を変えて。母に聞くといい」
美和は、心にさざ波を立てながらも、姑の悦子(野際陽子)に尋ねる。
美和「お味噌、何をお使いですか? 冬彦さんが…」
姑は、待ってましたとばかりに口を開く。
悦子「それじゃ紙に書いてあげます。あの子、色々と好き嫌いがありますから」
美和の顔が引きつる。これ以後、嫁姑の間に、激しい火花が散り始めるのだった。
マザコン男と見合い結婚した新妻が、その苦悩の中で、高校時代の恋を再燃させるメロドラマ。
新妻・美和と、初恋の人・大岩洋介(布施博)の恋物語のはずだったが、敵役の夫・冬彦の
変態キャラが話題になり、冬彦現象とも呼ばれるブームを巻き起こした。
佐野史郎の演じるマザコンでオタクの冬彦は、真夜中に下唇を突き出してウーウーと唸るなど
数々の奇行で妻の美和を困惑させる。
結局、二人の結婚生活はうまく行かず、元カレの洋介と再会した美和は、冬彦に離婚を切り出す。
だが、嫉妬した冬彦は、離婚を認めないばかりか、美和に様々な嫌がらせを始めるのだった。
息子を溺愛する姑・悦子を演じた野際陽子の強烈なキャラクターも、以後「ダブル・キッチン」
(1993年)「長男の嫁」(1994年)などで、彼女の当たり役になるほど切れ味があった。
本作は、初回13%の視聴率が、回を追うごとにうなぎ上りとなり、最終回は34.1%を記録。
サザンオールスターズの主題歌「涙のキッス」も大ヒットした。
(制作)TBS(脚本)君塚良一
(配役)西田美和(賀来千香子)桂田冬彦(佐野史郎)桂田悦子(野際陽子)西田常雄(橋爪功)
大岩洋介(布施博)中井律子(宮崎ますみ)