地の骨 1984年(昭和59年) ドラマ傑作選
私立大和大学の理事長・有田(佐藤慶)は、学内に東大出身の教授を増やし、
私大出身者を圧迫して、派閥を強大なものにしようと画策していた。
一方、次期教授を有田派の稲木(峰岸徹)と争う少数派の助教授・川西(田村正和)は、
稲木の試験問題紛失事件、さらには数億にのぼる有田の架空名義の隠し預金のからくり
などを暴いて、優位に立とうと図る。
そのため自分も裏口入学あっせんで三千万円を手にし、教授選にばらまいたのだが…。
松本清張原作。私大内部の腐敗構造を、教授の椅子を狙う助教授の野望と挫折を通して描く。
試験問題紛失、理事長の隠し金操作、裏口入学あっせん、教授選に動く金など、大学内の
汚濁の実態を具体的にえぐり出してゆくあたり、松本清張ならではの面白さだ。
主演の田村正和は、これまで静かな男という役どころが多かったが、今回は学内の実力者と
闘う野心的な助教授役で、とうとうとアジ演説も行い、新たな芸域の一端を披露している。
佐藤慶らのベテラン陣も主役を盛り立て、二時間をあきさせない見どころのあるドラマとなった。
(制作)フジテレビ、大映(原作)松本清張(脚本)岡田正代
(配役)川西隆之(田村正和)川西満江(市毛良枝)松村麗子(梶芽衣子)
有田卓郎(佐藤慶)稲木治夫(峰岸徹)原教授(久米明)井筒勝(西岡徳馬)