増村保造(ますむらやすぞう)(1924-1986)
1924年(大正13年)8月25日生まれ。山梨県甲府市出身。東大法学部卒。
1947年(昭和22年)大映に入社。1952年(昭和27年)ローマの映画実験センターに留学。
溝口健二、市川崑の助監督をつとめ、1957年(昭和32年)「くちづけ」が監督第一作。
監督第二作「青空娘」に若尾文子を起用。その後、多くの作品でタッグを組む。
強烈な自我や感情を持つ女性像を明晰な方法で描いて戦後映画に新風をもたらした。
一方、ダイナミックなタッチの演出で、スタ―男優の魅力も存分に引き出した。
産業スパイを描いた田宮二郎の「黒の試走車」、勝新太郎が軍隊の規律に豪快に抗う「兵隊やくざ」、
市川雷蔵が非情な軍人スパイとなる「陸軍中野学校」はいずれもヒットし、シリーズ化された。
大映倒産後は、独立プロを設立し「大地の子守歌」「曽根崎心中」などを発表。
晩年は山口百恵の「赤いシリーズ」など大映テレビシリーズの演出で活躍した。
1986年(昭和61年)11月23日死去。享年62歳。
近年、海外を含めそのモダンで大胆な演出と独特のエロチシズムが新たに評価されている。
代表作品
大映「くちづけ」(川口浩、小沢栄太郎、三益愛子、野添ひとみ、村瀬幸子)1957年(昭和32年)
大映「青空娘」(若尾文子、菅原謙二、川崎敬三、東山千栄子、信欣三)1957年(昭和32年)
大映「暖流」(根上淳、左幸子、野添ひとみ、小川虎之助、村田知栄子)1957年(昭和32年)
大映「氷壁」(菅原謙二、山本富士子、野添ひとみ、、川崎敬三、山茶花究、上原謙)1958年(昭和33年)
大映「巨人と玩具」(川口浩、野添ひとみ、高松英郎、信欣三、伊藤雄之助)1958年(昭和33年)
大映「不敵な男」(川口浩、野添ひとみ、永井智雄、有島圭子、山根恵子、岸田今日子)1958年(昭和33年)
大映「親不幸通り」(川口浩、桂木洋子、野添ひとみ、船越英二、小林勝彦)1958年(昭和33年)
大映「美貌に罪あり」(杉村春子、山本富士子、若尾文子、川口浩、野添ひとみ、川崎敬三、勝新太郎)1959年(昭和34年)
大映「最高殊勲夫人」(若尾文子、宮口精二、滝花久子、亀山靖博、川口浩)1959年(昭和34年)
大映「氾濫」(佐分利信、沢村貞子、若尾文子、川崎敬三、叶順子)1959年(昭和34年)
大映「からっ風野郎」(三島由紀夫、若尾文子、川崎敬三、船越英二、志村喬)1960年(昭和35年)
大映「妻は告白する」(若尾文子、川口浩、小沢栄太郎、馬淵晴子、根上淳)1961年(昭和36年)
大映「黒の試走車」(田宮二郎、叶順子、船越英二、白井玲子、高松英郎)1962年(昭和37年)
大映「女の一生」(京マチ子、、東山千栄子、高橋昌也、田宮二郎、浦路洋子)1962年(昭和37年)
大映「「女の小箱」より 夫が見た」(若尾文子、川崎敬三、田宮二郎、岸田今日子、江波杏子)1964年(昭和39年)
大映「兵隊やくざ」(勝新太郎、田村高広、淡路恵子、北城寿太郎)1965年(昭和40年)
大映「清作の妻」(若尾文子、田村高広、清川玉枝、殿山泰司、千葉信男、紺野ユカ)1965年(昭和40年)
大映「刺青」(若尾文子、長谷川明男、山本学、佐藤慶、須賀不二男)1966年(昭和41年)
大映「陸軍中野学校」(市川雷蔵、小川真由美、待田京介、E・H・エリック、加東大介)1966年(昭和41年)
大映「赤い天使」(若尾文子、芦田伸介、川津祐介、赤木蘭子、池上綾子)1966年(昭和41年)
大映「妻二人」(若尾文子、高橋幸治、岡田茉莉子、伊藤孝雄、三島雅夫)1967年(昭和42年)
大映「痴人の愛」(安田道代、小沢昭一、田村正和、倉石功、村瀬幸子)1967年(昭和42年)
大映「華岡青洲の妻」(市川雷蔵、若尾文子、高峰秀子、伊藤雄之助、渡辺美佐子)1967年(昭和42年)
大映「大悪党」(田宮二郎、佐藤慶、緑魔子、倉石功、内田朝雄)1968年(昭和43年)
大映「セックス・チェック 第二の性」(安田道代、緒形拳、小川真由美、滝田裕介、早川雄三)1968年(昭和43年)
大映「積木の箱」(若尾文子、緒形拳、松尾嘉代、梓英子、南美川洋子)1968年(昭和43年)
大映「盲獣」(船越英二、緑魔子、千石規子)1969年(昭和44年)
大映「千羽鶴」(平幹二朗、若尾文子、梓英子、京マチ子、南美川洋子)1969年(昭和44年)
大映「女体」(浅丘ルリ子、岡田英次、岸田今日子、梓英子、伊藤孝雄)1969年(昭和44年)
大映「でんきくらげ」(渥美マリ、川津祐介、永井智雄、玉川良一、西村晃)1970年(昭和45年)
大映「やくざ絶唱」(勝新太郎、大谷直子、田村正和、加藤嘉、荒木道子)1970年(昭和45年)
大映「遊び」(関根恵子、内田朝雄、杉山とく子、小峯美栄子、大門正明)1971年(昭和46年)
ATG「音楽」(黒沢のり子、細川俊之、高橋長英、森次浩司、三谷昇)1972年(昭和47年)
東宝「動脈列島」(田宮二郎、近藤正臣、関根恵子、梶芽衣子、山村聡)1975年(昭和50年)
松竹「大地の子守歌」(原田美枝子、佐藤佑介、賀原夏子、灰地順、堀井永子)1976年(昭和51年)
ATG「曽根崎心中」(梶芽衣子、宇崎竜童、井川比佐志、左幸子、橋本功)1978年(昭和53年)
松竹「この子の七つのお祝いに」(岩下志麻、根津甚八、辺見マリ、畑中葉子、中原ひとみ)1982年(昭和57年)