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【第五課 第三十八節】 小説読解
红楼梦 (曹雪芹)
第三十二回 诉肺腑心迷活宝玉 含耻辱情烈死金钏
这里宝玉忙忙的穿了衣裳出来,忽见林黛玉在前面慢慢的走着,
似有拭泪之状,便忙赶上来,笑道:“妹妹往那里去?
怎么又哭了?又是谁得罪了你?”
林黛玉回头见是宝玉,便勉强笑道:“好好的,我何曾哭了。”
宝玉笑道:“你瞧瞧,眼睛上的泪珠儿未干,还撒谎 sā huǎng 呢。”
一面说,一面禁不住抬起手来替她拭泪。
林黛玉忙向后退了几步,说道:“你又要死了!作什么这么动手动脚的!”
宝玉笑道:“说话忘了情,不觉的动了手,也就顾不的死活。”
林黛玉道:“死了倒不值什么,只是丢下了什么金,又是什么麒麟 qí lín,可怎么好呢?”
一句话又把宝玉说急了,赶上来问道:“你还说这话,到底是咒我还是气我呢?”
林黛玉见问,方想起前日的事来,遂 suì 自悔自己又说造次了,忙笑道:“你别着急,我原说错了。
这有什么的,筋都暴起来,急的一脸汗。”
一面说,一面禁不住近前伸手替他拭面上的汗。
宝玉瞅了半天,方说道“你放心”
黛玉听了,怔 zhèng 了半天,说道:“我有什么不放心的?
我不明白这话。你倒说说怎么放心不放心?”
宝玉叹了一口气,问道:“你果然不明白这话?
难道我素日在你身上的心都用错了?
连你的意思若体贴不着,就难怪你天天为我生气了。”
林黛玉道:“果然我不明白放心不放心的话。”
宝玉点头叹道:“好妹妹,你别哄 hōng 我。
果然不明白这话,不但我素日之意白用了,且连你素日待我之意也都辜负 gū fù 了。
你皆因总是不放心的原故,才弄了一身病。
但凡宽慰些,这病也不得一日重似一日。”
林黛玉听了这话,如轰雷掣电 chè diàn,细细思之,竟比自己肺腑 fèi fǔ 中掏出来的还觉恳切,
竟有万句言语,满心要说,只是半个字也不能吐,却怔怔 zhèng zhèng 的望着他。
此时宝玉心中也有万句言语,不知一时从那一句说起,却也怔怔的望着黛玉。
两个人怔了半天,林黛玉只咳 hāi 了一声,两眼不觉滚下泪来,回身便要走。
宝玉忙上前拉住,说道:“好妹妹,且略站住,我说一句话再走。”
黛玉一面拭泪,一面将手推开,说道:“有什么可说的。你的话我都知道了!”
口里说着,却头也不回竟去了。
宝玉望着,只管发起呆来。
原来方才出来慌忙,不曾带得扇子,袭人怕他热,忙拿了扇子赶来送与他,忽抬头见了林黛玉和他站着。
一时黛玉走了,他还站着不动,因而赶上来说道:“你也不带了扇子去,亏我看见,赶了送来。”
宝玉出了神,见袭人和他说话,并未看出是何人来,便一把拉住,说道:“好妹妹,我的这心事,从来也不敢说,今儿我大胆说出来,死也甘心!
我为你也弄了一身的病在这里,又不敢告诉人,只好挨 ái 着。
只等你的病好了,只怕我的病才得好呢。
睡里梦里也忘不了你!”
袭人听了吓得惊疑不止,只叫“神天菩萨 pú sà,坑 kēng 死我了!”
便推他道:“这是那里的话!敢是中了邪?还不快去?”
宝玉一时醒过来,方知是袭人送扇,宝玉羞得满面紫涨 zǐ zhàng,夺了扇子,便抽身的跑了。
这里袭人见他去了,自思方才之言,一定是因林黛玉而起,如此看来,将来难免不才之事,令人可惊可畏。
想到此间,也不觉怔怔的滴下泪来,心下暗度如何处治方免此丑祸 chǒu huò。
正裁 cái 疑间,忽有宝钗 bǎo chāi 从那边走来,笑道:“大毒日头地下,出什么神呢?”
袭人见问,忙笑道:“那边两个雀儿打架,倒也好玩,我就看住了。”
宝钗道:“宝兄弟这会子穿了衣服,忙忙的那去了?
我才看见走过去,倒要叫住问他呢。
他如今说话越发没了经纬 jīng wěi,我故此没叫他了,由他过去罢。”
袭人道:“老爷叫他出去。”
宝钗听了,忙道:嗳哟!
这么黄天暑热的,叫他做什么!
别是想起什么来生了气,叫出去教训一场。”
袭人笑道:“不是这个,想是有客要会。”
宝钗笑道:“这个客也没意思,这么热天,不在家里凉快,还跑些什么!”
袭人笑道:“你可说么!”
宝钗因而问道:“云丫头在你们家做什么呢?”
袭人笑道:“才说了一会子闲话。你瞧,我前儿粘 nián 的那双鞋,明儿叫他做去。”
宝钗听见这话,便两边回头,看无人来往,笑道:“你这么个明白人,怎么一时半刻的就不会体谅 tǐ liàng 人情。
我近来看着云姑娘的神情,风里言风里语的听起来,在家里一点点儿作不得主。
他们家嫌费用大,竟不用那些针线上的人,差不多的东西多是他们娘儿们动手。
为什么这几次他来了,他和我说话儿,见没人在跟前,他就说家里累的很。
我再问他两句家常过日子的话,他就连眼圈儿都红了,嘴里含含糊糊待说不说的。
想其形景来,自然从小儿没爹娘的苦。我看着他,也不觉的伤起心来。”
袭人见说这话,将手一拍,道:“是了,是了。
怪道上月我求他打十根蝴蝶结子,过了那些日子才打发人送来,还说‘这是粗打的,且在别处将就着使罢。
要匀净 yún jìng 的,等明儿来住着再好生打罢’。
如今听姑娘这话,想来我们求他他不好推辞,不知他在家里怎么三更半夜的做呢。
可是我也糊涂了,早知是这样,我也不求他的。”
宝钗道:“上次他就告诉我,在家里做活做到三更天,若是替别人做一点半点,他家的那些奶奶太太们还不受用呢。”
袭人道:“偏生 piān shēng 我们那个牛心左性的小爷,凭着小的大的活计,一概不要家里这些活计上的人作。
我又弄不开这些。”
宝钗笑道:“你理他呢!
只管叫人做去,就是了。”
袭人笑道:“那里哄的过他,他才是认得出来呢。
说不得我只好慢慢的累去罢了。”
宝钗笑道:’你不必忙,我替你作些如何?”
袭人笑道:“当真的这样,就是我的福了。
晚上我亲自送过来。”
一句话未了,忽见一个老婆子忙忙走来,说道:“这是那里说起!
金钏儿 jīn chuànr 姑娘好好的投井死了!”
袭人听了一跳,忙问“那个金钏儿?”
老婆子道:“那里还有两个金钏儿呢?
就是太太屋里的。
前儿不知为什么撵 niǎn 他出去,在家里哭天抹泪的,也都不理会他,谁知找不着他。
才有打水的人说那东南角上井里打水,见一个尸首,赶着叫人打捞起来,谁知是他! 他们还只管乱着要救活,那里中用了!”
宝钗道:“这也奇了。”
袭人听说,点头赞叹,想素日同气之情,不觉流下泪来。
宝钗听见这话,忙向王夫人处来道安慰。
这里袭人回去不提。
却说宝钗来至王夫人处,只见鸦雀 yā què 无闻,独有王夫人在里间房内坐着垂泪。
宝钗便不好提这事,只得一旁坐了。
王夫人便问:“你从那里来?”
宝钗道:“从园里来。”
王夫人道:“你从园里来,可见你宝兄弟?”
宝钗道:“才倒看见了。
他穿了衣服出去了,不知那里去。”
王夫人点头哭道:“你可知道一桩奇事?
金钏儿忽然投井死了!”
宝钗见说,道:“怎么好好的投井?这也奇了。”
王夫人道:“原是前儿他把我一件东西弄坏了,我一时生气,打了他几下,撵了他下去。
我只说气他两天,还叫他上来,谁知他这么气性大,就投井死了。岂不是我的罪过。”
宝钗叹道:“姨娘 yí niáng 是慈善人,固然这么想。
据我看来,他并不是赌气投井。
多半他下去住着,或是在井跟前憨顽 hān wán,失了脚掉下去的。
他在上头拘束惯了,这一出去,自然要到各处去顽顽 wán wán 逛逛,岂有这样大气的理!
纵然 zòng rán 有这样大气,也不过是个糊涂人,也不为可惜。”
王夫人点头叹道:“这话虽然如此说,到底我心不安。”
宝钗叹道:“姨娘也不劳关心,十分过不去,不过多赏他几两银子发送他,也就尽主仆 zhǔ pú 之情了。”
王夫人道:“才刚我赏了五十两银子与他娘,原要还把你姊妹们的新衣服给他妆裹 zhuāng guǒ。
谁知各丫头可巧都没什么新做的衣服,只有你林妹妹作生日的两套。
我想你林妹妹那个孩子素日是个有心的,况且他也三灾八难的,既说了给他过生日,这会子又给人妆裹去,岂不忌讳 jì huì。
因为这么样,我才现叫裁缝 cái feng 赶着做一套给他。
要是别的丫头,赏他几两银子就完了,金钏儿虽然是个丫头,素日在我跟前比我的女儿也差不多。”
口里说着,不觉流下泪来。
宝钗忙道:“姨娘这会子又何用叫裁缝赶去,我前儿倒做了两套,拿来给他岂不省事。
况且他活着的时候也穿过我的旧衣服,身量又相对。”
王夫人道:“虽然这样,难道你不忌讳?”
宝钗笑道:“姨娘放心,我从来不计较这些。”
一面说,一面起身就走。
王夫人忙叫了两个人来跟宝姑娘去。
一时宝钗取了衣服回来,只见宝玉在王夫人旁边坐着垂泪。
王夫人正才说他,因见宝钗来了,就掩住口不说了。
宝钗见此景况,察言 chá yán 观色,早知觉了七八分,于是将衣服交明。
王夫人将他母亲叫来拿了去。
再看下回分解。
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【注 釈】
【红楼梦】 hóng lóu mèng 紅楼夢 (こうろうむ)
清代初期の長編小説。「金瓶梅 (きんぺいばい)」 と並んで中国の風俗小説の最高峰とされる。
全120回。曹雪芹 (そうせっきん) の作。
もともと80回本だったが、その後30年ほどの間に何人かの手で続作40回が書かれ、120回本になった。
発刊直後から人気を博し、その熱狂的ファンは 「紅迷」、その研究は 「紅学」 と呼ばれた。
大貴族の御曹司・賈宝玉 (かほうぎょく) と 「金陵十二釵 (きんりょうじゅうにさ)」 と呼ばれる十二人の美女たちの物語で、
とくに、賈宝玉と 「金陵十二釵」 の一人・林黛玉 (りんたいぎょく) の恋愛模様が物語の軸となる。
豪奢な生活を送っていた賈家が急激に没落する過程が背景となっており、物語は悲劇性を帯びている。
【曹雪芹】 cá xuě qín 曹雪芹 (そうせっきん) [1715-1763]
清の小説家。満州貴族の出。南京の豪家に生まれた。
10歳前後に没落、不遇の中に栄華を回想して「紅楼夢」を書いた。
しかし、未完のまま病没。
【肺腑心】 fèi fǔ xīn 心底から出た言葉
【迷活】 mí huó 夢中にさせる
【贾宝玉】 jiǎ bǎo yù 賈宝玉(か・ほうぎょく)
皇室の姻戚である賈氏一族の貴公子。
賈宝玉は勉学が嫌いで、豪邸に同居する美少女たちと風流生活を送る。
趣味の合う美少女、林黛玉と相思相愛の関係となるが、お互いの気持ちをうまく伝えられない。
【林黛玉】 lín dài yù 林黛玉 (りん・たいぎょく)
ヒロイン。宝玉の従妹で幼なじみ。詩才と機知に富む一方病弱で繊細。
厭世的で悲観的かつ神経質で極めて感受性の強い美少女。
宝玉が好きだがプライドが高いためか素直になれない。
【得罪】 dé zuì (人の)感情を害する。(相手を)怒らせる
<用例> 直性子容易得罪人。(ずばりと物を言う人は人を傷つけやすい)
【何曾】 hé céng (副詞) 从来没有。并不是。どうして~であろうか
【又要死了】 yòu yào sǐ le 看轻自己的性命。命を粗末にする
【忘情】 wàng qíng 不能控制自己的感情。夢中になる
【顾不得死活】 gù bù de sǐ huó 生き死になどかまっていられない
【袭人】 xí rén 襲人 (しゅうじん)
宝玉付きの侍女。宝玉の初体験の相手でもあり、正式では無いが宝玉の妾役でもある。侍女連の筆頭格
【不曾带得扇子】 bù céng dài de shàn zi 没带过扇子。扇子を持たずに来た
【挨着】 ái zhe 耐え忍ぶ
【宝钗】 bǎo chā 宝釵 (ほうさ)
宝玉の従姉。林黛玉とは正反対の楊貴妃にたとえられる肥満体で大らかな華やかな容姿。詩も学問も人に優れてよくできる。
黛玉とはよく対比され、中国には 「恋をするなら林黛玉、妻にするなら宝釵」 というフレーズもあるという
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【口語訳】
第三十二回
肺腑心 (はいふしん) に诉 (うったえ) て宝玉 (ほうぎょく) を迷活 (めいかつ) せしめ
耻辱情 (ちじょくのじょう) を含 (ふく) みて 金钏 (きんせん) を烈死 (れっし) せしむ
这里(こちら)は宝玉(ほうぎょく)、忙忙的(いそいで)衣服(きもの)を穿了(きて)出(で)て来た。
忽(ふ)と头(あたま)を抬(あ)げると、林黛玉(りんたいぎょく)が、前面(むこう)を慢慢的(そろそろと)走着(歩いてゆく)のが见(み)えた。
どうも拭泪(ないて)いる之状(ようす)があるので、便忙(いそいで)赶上来(おいかけていっ)て、笑(わら)いながら道(い)った。
「妹妹 (黛玉殿)、那里(どこ)に往去(ゆき)なさる、して又(また)怎么(なん)で哭了(なき)ます?。
又(また)是谁(だれ)か、你(あなた)に得罪(わるいこと)でもしたのではありませんか?」
林黛玉(りんたいぎょく)は回头(ふりかえ)って宝玉(ほうぎょく)见(み)ると、勉强(つとめ)て笑(えがお)をつくった。
「好好的(まあまあ)、我(わたし)何曾(なん)で哭了(なき)ましょう」、と道(い)う。
宝玉(ほうぎょく)は、
「你瞧瞧(そら)、眼睛(め)の上の泪珠儿(なみだ)が、未(ま)だ干(のこっ)ているではありませんか、撒谎(うそをつい)てはいけません」
そう说(い)い一面(ながら)、禁不住(みかねて)手(て)を抬起来(もたげ)、她(彼女)の泪(なみだ)を拭(ぬぐって)やった。
林黛玉(りんたいぎょく)は忙(さっそ)く几步(いくあし)か后(あと)に退了(ひい)た。
「你又(あなたはまた)要死(命を粗末に)なされますか。什么(なん)で这么(こんな)に动手动脚(いらぬことをなさる)?」
すると宝玉(ほうぎょく)は笑(わら)いながら道(い)う。
「说话(はなし)に忘了情(むちゅうになり)、觉(おも)わず手(て)を动(だ)すようなことをして顾不的死活(とんだそそう)をしました」
林黛玉(りんたいぎょく)は、
「你(あなた)が死(な)くなられても、倒(べつ)に什么(なに)も值(あたい)しますまい。
只是(ただ)金(きんす)什么(とか)を丢下了(ほおっておく)なんて。
そして又是(こんどはまた)麒麟(きりん)什么(など)とは、可(いったい)怎么好(どうした)ことですの?」
この一句话(ことば)は、又(また)宝玉(ほうぎょく)の说(はなし)を急(せ)きこませてしまった。
彼は、赶上来(さっそく進みでてき)て、
「你(あなた)が这话(そんなこと)を说(い)いなさるは、到底(いったい)我(わたし)を咒(のろ)うつもりですか?
还是(それとも)我(わたし)を气(いからせ)ようとするのですか?」
林黛玉(りんたいぎょく)は、そう问(と)われて、方(まさ)に前日(いつぞや)の事(こと)を想(おも)い起(お)こした。
そして遂(すぐ)に自(われなが)ら造次(そそう)なことを说(い)ったことを悔(く)いた。
忙(さっそ)く笑(わら)いながら、
「你(あなた)もそう着急(やきもき)なさらないで、我(わたし)が说(い)い错了(そこなった)のですから。
这(それ)に什么的(なにも)そう急的一脸汗(あせをたらして)筋都暴起来(あおすじたて)ることもありますまい」
そう说(い)い一面(ながら)、禁不住(みかねて)近前(すすみで)て手(て)を伸(だ)し他(彼の)の面上(かお)の汗(あせ)を拭(ぬぐって)やった。
宝玉(ほうぎょく)は半天(しばらく)瞅了(ながめ)て居(い)たが、方(やが)て 「你放心(ごあんしんなさい)」 と说道(い)った。
林黛玉(りんたいぎょく)は、それを听(き)くと、半天(しばし)怔了(あっけに)とられてしまった。
「それじゃ我(わたし)に什么(なに)か放心(あんしん)のできぬ的(こと)でもあるというのですか?
我(わたし)は这话(そのわけ)が不明白(わかり)ません。
你(あなた)は倒(いったい)怎么(なに)を放心(あんしん)とか不放心(ふあんしん)とか说说(おっしゃる)の?」
すると宝玉(ほうぎょく)は一口气(しきりと)叹息(たんそく)して、
「你(あなた)は果然(はた)して这话(そのこと)が不明白(わかり)ませぬとは。
难道(どうも)我(わたし)が素日(ふだん)你(あなた)の身上的(ことを)心(おもう)て在(い)たことは
都(み)な用错了(おもいちがい)だったようです。
你(あなた)の意思(気持ち)さえも、体贴(人を思いやる)ということが不着(できない)ようですね。
我(わたし)が天天(いつも)你(あなた)に生气(おこられ)たのは、难怪(もっとも)だということになります」
林黛玉(りんたいぎょく)は、
「果然(どうしても)我(わたし)は放心(あんしん)とか不放心(ふあんしん)とか话(いうこと)は不明白(がてん)がゆきません」
宝玉(ほうぎょく)は点头(うなず)きながら叹(たん)じて、
「好妹妹 (黛玉殿)、你(あなた)は别哄我(どうかかくさずにいってください)。
果然(はたして)这(こ)の话(こと)が不明白(がてん)がゆきませぬようでは、
但(た)だ我(わたし)の素日(ふだん)の意(こころづかい)が白用(むだ)になるばかりではありません。
且(そればかり)か、你(あなた)が素日(ふだん)の我(わたし)に待(たい)する意(気持ち)にも也(また)辜负(そむく)ことになります。
你(あなた)は、总(ことごとく)不放心(安心がゆかぬ)原故(ばかりに)、
それが才(まさ)に你(あなた)の一身(いっしん)の病(やまい)を弄了(つくっ)ているわけです。
但(た)だ凡(せめて)宽慰些(気持ちをひろくもて)ば、这(こん)な病(びょうき)など、
一日重似一日(日に日に重くなる)ということは得(あ)りえません」
林黛玉(りんたいぎょく)は这(こ)の话を听くと、宛(さなが)ら轰雷(いかづち)に掣电(うた)れたように感じた。
细(よ)く细(よ)く之(こ)れを思いかえすと、竟(かえって)自己(じぶん)の肺腑中(胸の中)から掏(しぼ)り出して来たよりも、
还(な)お恳切(こんせつ)な觉(かんじ)がした。
竟(たとえ)万句(ありたけ)の言语(ことば)を满心(つく)して说(い)おうと要(し)てみても、只是(ただ)半个字(はんじ)も吐(かなわ)ず、
却(ただ)怔怔的(ほうけた)ように他(彼)を望着(のぞみ)见(み)て居(い)た。
此时(このとき)宝玉(ほうぎょく)の心中(しんちゅう)にも也(ま)た万句(いろいろ)言い词(た)いことがあったが、
一时(いちじ)那一句上(どこから)说(い)い起(だ)したものやら考えがつかなかった。
そして却(やはり)也(ま)た怔怔的(じっと)黛玉(たいぎょく)を望着(みつめ)、
このように两个人(ふたり)は半天(しばらく)怔了(ぼうぜん)とするばかりであった。
すると林黛玉(りんたいぎょく)は、咳了一声(せきばらい)して、觉(おぼえ)ず其(そ)の两眼(りょうがん)から泪を滚下(なが)し、
身(み)を回(かえ)して走(ゆ)こうとした。
宝玉(ほうぎょく)くは忙(いそ)ぎ上前(すすみ)いでて拉(ひ)き住(と)めて、
「好妹妹 (黛玉殿)、且(まあ)略(しばらく)站住(おまち)なさい、
我(わたし)の一句话(いうこと)を说(き)いてから再走(おいで)なさい」 と说道(い)った。
林黛玉(りんたいぎょく)は泪を拭(ぬぐい)一面(ながら)、手で推(お)し开(の)けて、
「什么(なにも)说(はな)すようなことはありませんし、你的话(あなたのこと)は我(わたし)都(すべて)知道(わかって)居(お)ります」
そう口里说着(こたえ)て、头也不回竟(ふりかえりもせず)さっさと去了(いって)しまった。
宝玉は、只管(ただ)发起呆来(あっけにとられて)望着(ながめている)ばかりだった。
原来(ところで)方才(さっき)出来(出がけ)に慌忙(あわて)て、扇子(せんす)を不曾带得(持たず)にきてしまったので、
袭人(しゅうじん)が、他热(暑)かろうと怕(きづ)かって、忙(い)そぎ扇子(せんす)を拿了(手に)与他(彼に)赶来送(届ける)つもりでやってきた。
忽(ふ)と头(あたま)を抬(あ)げると、(和他)彼と林黛玉(りんたいぎょく)とが站着(立ち)ばなしをしている。
一时(しばらく)して黛玉が走了(行って)しまったのに、他(彼)は还(ま)だ站着(立ちつくしたまま)不动(身じろぎもしない)。
因而(そこで)赶上来(馳せ寄って)说道(声をかけた)。
「你也(あなたはまあ)扇子(せんす)を不带了(持たずに)去(おいでに)なって、亏(いいぐあい)に我(わたし)が看见(気が付き)ましたので、
赶了(急ぎ)送来(お届けにまいり)ましたの」
宝玉は、出了神(気抜けしている)ところへ、袭人(しゅうじん)が、和他(自分に)说话(話しかけて)きたものだから、
何人(誰が)来(き)たのか、并未看出(見極めもつかぬうちに)、便(やにわ)に一把(ぎゅっと)拉住(抱きしめ)て说道(いっ)た。
「好妹妹(黛玉殿)、我的(わたしの)这(こ)の心事(胸の内)、从来也(ついぞ)不敢说(打ち明けられなかった)が、
今儿(今日)こそは、大胆(思い切って)说出来(打ち明けよう)、死也甘心!(死んでも心残りはありません)
我(わたし)だって为你也(あなたゆえに)在这里(現に)一身的病(身に病気を)弄了(負って)いるのです。
又(でも)不敢(あえて)告诉人(人に言えるものでなし)、只好(ひたすら)挨 ái 着(耐え忍んで)いるのです。
你的病(あなたの病気が)好了(よ)く只等(ならないうちは)、我的病(私の病気)も只怕得好(よくなりますまい)。
睡里梦里也(寝ても覚めても)忘不了你!(あなたを忘れられないのですから)」