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【第五課 第三十九節】   小説読解


  西游 (吴承恩) 


第一回 石猴出世     朗読   孫敬修老師

小朋友,现在我给你们说石猴这个故事,石猴这个故事啊,
就是西游记里边的一段,也就是说呀,孙悟空是怎么来的。
现在我就给你们说了。

说在大海里边啊,有一座花果山,这个山顶上啊有一大块石头柱子,
三丈多高,两丈多粗,有这么一天呢,这块石头啊,忽然轰的一声,裂了,嘣,
从里头蹦出一个大石头球来,这个石头球啊咕噜咕噜咕噜咕噜这么一滚 gǔn,
风这么一吹,你说怪不怪呀,这个石头球啊,变成了一个石头猴了。

过了不大一会儿,这个石头猴啊,眼睛睁开了,嗯——他活了!
往地下一跪,朝着东、西、南、北四个方向,他就拜开了,拜完了哇,“腾”一蹦,
他就跳下山去了,多逗哇!他一看山下,哇!有好多好多的猴子,
在那儿又蹦又跳的,他就过去了:"哎,我跟你们一块玩呀!"

大伙一看见他呀,都挺高兴,他们一块就玩开了,成了好朋友了。
他们就天天在一块摘果子吃,一块揪 jiū 着树枝子打悠千 yōu qiān 玩,大伙过得呀别提多高兴了。

有这么一年夏天,这天儿特热,石猴他们呢,就在河里头洗澡,洗着洗着,有一个猴子就说:
"哎,你们看呢,这条河,哗、哗、哗的这么流水,这个水是从那儿流来的呀?
是哪,哎,咱们顺着小河往上走,看看这个水呀到底儿是从哪儿流来的,你们说好不好哇?
“哎,好,好。”这个石头猴把手一举:“走,咱们瞅瞅去?”
说着这些猴子们呢,呼噜呼噜呼噜的,你揪着我,我拽 zhuài 着你,就像一窝蜂似的,顺着河就往上边走去了。

他们走哇走哇,走了好远,忽然听见呢哗哗哗哗的声音,什么呀?
抬头一瞧啊,前边啊有一个大瀑布 pù bù,瀑布啊,就是从山上往下流的那个大水,就像一条白布似的,
哗——往下流,又像个帘子,好看极了。

猴子们呢,越看越高兴,高兴得又拍巴掌又拍脑袋,这时候有一个猴子就说:
“哎,这个水帘子后边是什么呀?
哎,这么着好不好,谁要是有本事敢钻 zuān 进去,瞧一瞧里头有什么?
然后再出来,咱们呢就拜它为大王,你们说好不好?”
“好,对。谁要敢进去瞧瞧,然后再好好的出来,咱们就拜他们为大王,谁去?谁去?”

大伙一瞅这水哗哗哗地往下流啊,谁也不敢去。
他们愣了半天呢,猴子们歪着脖,你瞅瞅我,我瞧瞧你,没有一个敢去的。
忽然呢,从这猴们中间噌——跳出来一只猴,大喊了一声:
“我敢进去”。大伙一瞧,谁呀?

原来就是那只石猴,你瞧吧,这个石猴啊眨巴眨巴眼睛,晃了晃身子,噌—— 一下啊,
它就跳到那个瀑布里边去了。
猴子们呢,站在那会儿,直愣愣地瞧着,都为他担心,“哎呀,他掉到那水里头还出得来吗?”

这个石猴啊噌地一下不是钻过去了吗?噔,他站在一个地方,低头一瞧啊,是个铁板桥,
原来这个瀑布啊,是往桥下流的,可是这个桥洞子啊,那块有些个大石头,水往上一冲啊,
就溅起老高的大浪花,这么一来呢,这个瀑布啊就像一张大帘子,倒挂 dào guà 在那儿了,
把这个桥啊给挡 dǎng 住了,这石猴看了看里边还有个大洞,他就朝洞里边走去了,一瞧,
好家伙,太棒了,前边有一所大石房子,两边呢,长得好些个花儿,还有树,当中啊,
还有一块石碑,这碑上啊,还刻着一行字呢。石猴连忙蹦过去一瞧,

上面写着:“花果山福地,水帘洞洞天”,好哎!这是块福地呀,他就这儿瞧瞧,那儿看看,
又用力一跳,从这个桥上跳出来了。

猴子们呢,正等着着急呢,一看石猴出来了,轰地一下就把他给围上了。
“哎,哎,里边有什么呀?”“哎,那水有多深呢?”“对了,那水深吗?”
石猴啊,把头一摇:“别着急,听我慢慢地说,那里边啊根本就没有水,
原来呀是瀑布把一座铁板桥遮住了,桥那边有一座石头房子,里边有石头床 chuáng、
石头桌子、石头凳子,还有石盆、石碗、石这个石那个,可宽绰 kuān ·chuò 了,
咱们这些老的小的,胖的瘦的都能够住得下,真是个好地方啊!”

猴子们一听可高兴了,高兴得直蹦,“走,咱们进去,咱们进去。”
“好,你们就跟我来。”说着石猴把头一低,噌——带头一跳,就带着猴们都跳过瀑布去了。

过了这个铁板桥啊,来到了石头房子里边了,猴子们一看,“哎呀!这儿可真是个好地方呀!”
猴子们一个个地抱盆子抢碗的,挪桌子搬凳子的,豁——就折腾开了。
挪过来挪过去呀,折腾了半天才安静下来了。

这时候,石猴往一个大石头凳子上一坐,就跟猴子们说了,“哎,你们刚才可说过,
谁要有本事敢先进来,还好好地出去,就拜他为大王,对不对?
我现在进来又出去,出去又进来,给你们找了这么个好地方,你们还不赶紧拜我做大王吗?”
猴子们一听哪,就喊开了“对对对对,咱们说,就得这么办,来来来,咱们拜他为大王。”
说着这猴子们呢就排好了队,这个石猴呢,坐在当中间,他们都跪下了给他磕头。
石猴呢,就当了他们的大王了,从那里以后啊,
这个石猴就带着猴子们在花果山水帘洞里头过起日子来了。

日子啊过得挺快,有这么一天,石猴忽然不高兴了,猴子们慌了。
“大王,大王,咱们这会儿过得挺快乐呀,挺幸福的,您为什么不高兴呢?”
“是呀,咱们的日子过得多好啊!你为什么不高兴了?”
“咳!你们不懂,我当了你们的大王,可是我自己什么本事都没有,
往后要是碰上什么麻烦,我不能保护你们,那怎么行呢?

我想我得下山,找个师傅好好学点本事,你们看怎么样?”
猴子们呢,都不愿意让石猴走,可是又觉得石猴说得对,只好含着眼泪答应他了,给他送行。
这个石猴啊,走出了花果山,来到了海边上,找了一个木筏子,木筏子,
就是把几个木头弄在一块儿,当个小船似的,这个石猴就坐着这个木筏子离开了花果山,
他到外地干么去?找师傅学本领去了。

这个时候,来到一个叫灵台方寸山的地方,山上有个大洞,洞里头有一位很有能的老师傅,
这个石猴啊,就拜这位老师来学艺,这位老师给他起了个名,叫孙悟空。
这孙悟空很聪明,他又勤奋 qín fèn 学习,他不贪玩儿,他就跟老师学呀,他学了好多的本事。
有这么一天呢,这个老师教孙悟空和别的徒弟们一块学本领,不知道怎么回事,
这个老师啊,用一个尺子在孙悟空的头上,嘣、嘣、嘣,敲了三下,
又倒背着手出去了。

孙悟空眨巴眨巴眼睛,他想,啊——想了想,他笑了,到了黑天半夜三更天的时候,
他悄悄地下了床,从后门进到老师的卧房里头去了,一看呢,老师正睡觉呢。他等着,他不惊动老师。
过了一会儿,老师醒了,一看孙悟空在床前面跪着呢,就问他:“哎,你不睡觉,
半夜三更的到我这儿来干什么?”
“师傅,不是您老人家叫我来的吗”“嗯?我什么时候叫你来的?”
“哎,您不是打我三下吗?不就是叫我三更天来吗?
您倒背着手走出了门,不就是叫我从后门进来吗?”

“哈哈哈,哎呀,你这个猴子真聪明,我的心思你全都懂啊!
好,现在,我就教你72变和跟斗云。”
就这么着,孙悟空学会了72变,想变什么变什么,和跟斗云,他一个跟斗就能翻出十万八千里那么远,
孙悟空他的本领啊好是好,可是他有一个毛病,就是好夸口、好显示自己,
闲着没事的时候,老师又不在,他就爱把老师教给他的本事使出来,叫别人瞧瞧。

有一回,孙悟空正叫别人看他的本事呢,一下子让老师看见了,这个老师立刻就把他教训了一大顿,
然后问他:“悟空,我不多说你了,现在你的本事学好了,学得不少了,不过千万你要记住,
不要在别人的面前卖弄,你走吧!”
“啊?你叫我走?”“恩,记住,往后不论到什么地方,千万不要仗着你有本事就胡闹。
记住了吗?”
“是,师傅,我一定不胡闹。”“好,你走吧。”

孙悟空一听师傅让他走,心里头很难过呀,可是他知道老师的脾气,让他走,就得走,
之后,含着眼泪拜别了老师,走下了灵台方寸山,一扭身,噌——跳上了云彩,翻了几个跟头,就到了花果山了。

进了水帘洞。水帘洞里的猴子一看大王回来了,哎吆,那个高兴啊!
这个石猴孙悟空回到了花果山水帘洞以后怎么样了呢?
等以后有机会,我再跟你们说啊!




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【注 釈】

【西游记】 xī yóu jì  西遊記 (さいゆうき)
明代の長編小説。四大奇書の一つ。呉承恩作とされる。100回。
唐僧玄奘三蔵 (げんじょうさんぞう) が孫悟空・猪八戒・沙悟浄らとともに、
さまざまな妖魔の障碍を排して天竺に至り、大乗経典を得て帰るという筋。

【吴承恩】 wú chéng ēn  呉承恩 (ごしょうおん)   [1500-1582]
明代の文学者。字は汝忠、号は射陽山人。江蘇省淮安の人。
頑固な性分で、諧謔を好んだ。官途に恵まれず、晩年は著述に専念。
「西遊記」 の作者とされる。


【揪着树枝子】 jiū zhe shù zhī zi   木の枝をつかんで
【悠千】 yōu qiān  空中ブランコ
【别提】 bié tí  不用说。大いに。たいそう

【呼噜】 hū lū スッスッと小走りに
【花果山福地,水帘洞洞天】 huā guǒ shān fú dì,shuǐ lián dòng dòng tiān
花果山は安楽の地、水廉洞は天の岩屋 (神仙の住む所)

【带头】 dài tóu  先頭切って
【豁】 huō   必死になって
【就折腾开了】 huō de jiù zhē teng kāi le   我先にと奪い合いをはじめた

【木头弄在一块儿,当个小船】 丸太をひとまとめに結び小船としたもの
【当中间】 dāng zhōng jiān  真ん中。中ほどに
【灵台方寸山】 líng tái fāng cùn shān   霊台方寸山 れいだいほうすんさん

【倒背着手】 dǎo bèi zhe shǒu  後ろ手を組んで
【三更天】 sān gèng tiān  夜中の12時ごろ。宵五つ
【72变和跟斗云】 72 biàn hé gēn dǒu yún 72変化と雲乗り(筋斗雲)の術

【一个跟斗】 yí ge gēn dǒu  とんぼ返りで
【卖弄】 mài nòng   (自分の腕前を) ひけらかす
【仗着你有本事】 zhàng zhe nǐ yǒu běn shi   実力を笠に着て
【一扭身噌】 yì niǔ shēn cēng   くるりと向きをかえさっと






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【口語訳】


西遊記(第一回) 石猿誕生


さて遥か大海原の果てに、花果山と呼ぶ山があった。
この山の頂に、高さ三丈、ぐるり二丈余りの大きな岩が立っている。

ある日この岩が、ぽんと音を立てて割れ、中から大きな石の卵が飛び出した。
ゴロゴロと転がる石の卵が外気に触れると、何とみるみる一匹の石猿となった。

この石猿、すぐさま目を開けるや動き回り始めた。
彼はひざまずいて天地四方を礼拝すると、飛び跳ねながら山を下って行った。

山すそでは、大勢の猿たちが集まって遊んでいる。

石猿はたちまち彼らと友達になって、一緒に木の実を取って食べたり、
木の枝をつかんでブランコ遊びをしたり、毎日を楽しく遊び暮らした。


ある夏の暑い日。石猿たちが河で水浴びをしていると、一匹の猿が言う。

「おや、ごらん。この河の水は、ざあざあと、どこから流れて来るのだろう。
河に沿って上って行って、この水が一体どこから流れて来るのか見てみようじゃないか?」

「そりゃ面白い!」石猿が手をかざして言う「早速、見に行こうじゃないか!」

猿たちは、キャッキャッといちゃつき、はしゃぎながら、河に沿って這い上って行った。

どんどん進んで行くと、突然ざあざあという音が聞こえて来た。
顔を上げると、それは大きな滝だった。流れ落ちる水が、まるで白い布のようだ。

猿たちは見れば見るほど興奮して、顔や頭を叩いて喜んでいると、一匹の猿が言う。

「この滝の奥はどうなっているのだろう? おい誰か、この滝に飛び込む奴はいないか。
滝の向こう側を見届けて戻って来たら、そいつを俺たちの王にしようじゃないか?」

「そうだ、滝つぼに飛び込む度胸のある奴こそ俺たちの王だ! だが一体誰が行く?」

しかし水が激しく流れ落ちる様子を見ると、尻込みして誰も行こうとしない。

猿たちは、しばらくぽかんとしたまま、首をかしげてお互いを見やっていたが、
やにわに「よし、俺がやる!」と、大声で叫んで飛び出したのは例の石猿。

目をぱちぱちさせ、体をひとゆすりすると、流れ落ちる滝めがけて躍り込んだ。
ほかの猿たちは、心配して「無事に戻れるだろうか?」と、じっと見守っている。

ザブンと滝をくぐった石猿は、ストンとある場所に降り立った。
見下ろすと、それは鉄の橋だった。

もともと滝の水は、その橋の下にある大きな岩穴から流れ出しているのだが、
ほとばしる水が、いったん空中にあがって、まるで大きな段幕のように
流れ落ちている。

そのかげに隠れて、橋の入り口が見えなくなっていたのだ。

石猿は、橋の奥に大きな岩穴を見つけ、中へ入って行った。

見ると、手前に大きな石の家があり、その両側には木もあれば花も植わっていた。
正面には石碑が建ち、そこには一行の字が彫ってある。

すぐさま駆け寄って見ると、こう記されている。「花果山福地、水簾洞洞天」

「なるほど、ここは恵まれた土地というわけか。」ひとあたり石碑を眺めてから、
石猿は橋の上から大きく跳び上がって、ふたたび滝の外へ躍り出た。


猿たちは、心配そうに待っていたが、石猿が出てきたのを見ると、ぐるりと取り囲んだ。
「滝の奥はどうだった?」「水は深いのか?」などと、口々に尋ねる。

石猿は、頭を一振りして「焦るな、ゆっくり聞け、あそこには全く水はない、
滝が鉄の橋を隠しているのだ。橋の向こうに石の家があって、中に石のベッドもある。

石のテーブル、石の腰掛け、石の鉢、石の椀、あれやこれやあって、とてもだだっ広い。
年寄りも子供も、太った者も痩せた者も、住むにはもってこいの場所だ。」

聞いた猿たちは大喜びで「行こう、行こう!」と言う。
「みんな、俺について来い!」そう言って石猿は先頭に立ち、皆を連れて滝を飛び越えた。

鉄の橋を渡って、石の家の中に入ると、猿たちは、「ここはいいところだ!」と叫ぶ。

どいつもこいつも、鉢や茶碗を奪い合い、あっちにテーブルをどかしたかと思うと、
こっちに腰掛けを運ぶといった具合に、もう大騒ぎだ。

半日費やして、やっとこさ静かになった。
そこで石猿、石のベンチに腰をかけると、猿たちに言う。

「お前らは、さきほどこう言ったろ? 誰かが滝に入って、ちゃんと戻って来たら王にするってな?
俺様は、入って出て来て、出て来て入って、こんないいところを見つけてやったんだ、さっさと王にしないか?」

すると猿たちは、「そうそう、そうだ、そうしよう、さあさあ、王を拝もう!」と叫ぶ。
猿たちは整列し、石猿が上座に座ると、みんなひざまずいて頭を下げた。

こうして石猿は、彼らの王になり、花果山の水簾洞で暮らし始めた。


ある日のこと、石猿が急に不機嫌になったので、猿たちは慌てた。

「大王さま、我々はとても楽しく暮らしているに、どうして嬉しくないのですか?」
「そうですよ、好き放題に暮らしているのに、どうして機嫌が悪くなったんですか?」

「そうさな、俺はお前たちの王になったが、これといって何の取り柄も無い。
この先何か困ったことがあっても、お前たちを守ることができないだろう。

俺は山を下りて、誰か師匠を探して修業を積もうと思うのだが、お前たちはどう思う?」
猿たちは、別れるのは辛いと思ったが、その一方で石猿の言う通りだと思い、涙ながらに見送ることにした。

こうして花果山を出た石猿は、海辺にやって来ると、いかだを探した。
いくつかの木を集めて船にしたいかだに乗り込み、石猿は花果山に別れを告げた。


霊台方寸山という山の上に大きなほこらがあり、その中に一人の優れた老師がいた。
石猿は、この老師に学ぶことにした。そこで老師は、石猿に名前をつけ、孫悟空と呼ぶことにした。

孫悟空はとても賢く、また勤勉に修業に励んだため、まもなく多くの道術を学んだ。

ある日、老師は弟子たちを指導していたが、ふと物差しを手にして、孫悟空の頭をバンバンバンと三回叩き、
そのまま後ろ手をして出て行ってしまった。

孫悟空は目をぱちぱちさせたかと思うと「ああ、そういうことか。」と納得して一笑した。

夜遅くになって、悟空はそっとベッドを出て、裏口から老師の寝室へはいってみると、老師は寝ている。
悟空は老師を起こさずに、そのまま待っていた。

しばらくして、老師が目を覚ますと、孫悟空がベッドの前でひざまずいている。

「お前は、夜中に何しに来たのだ?」
「師匠、お呼びじゃなかったのですか?」
「ん? わしがいつ呼んだというのか?」

「三回殴られたでしょう。これは夜中の三更(午前零時)に来いという意味ではありませんか?
後ろ手をして出て行かれたのは、裏口から来いということでしょう?」

「ははは、お前は利口な猿だな、わしの気持はよくわかっていると見える。
よろしい、ではこの場で、七十二変化と筋斗雲の術を教えてしんぜよう。」

こうして孫悟空は七十二変化の術と十万八千里を駆け巡ることのできる筋斗雲の術を身に着けた。

しかし孫悟空の術の腕前は確かに見事だったのだが、彼はどうも人前で自慢すると言うたった一つの欠点があった。
暇な時や老師がいない時、彼はよく教えてもらった腕前を人前で披露して見せるのだった。


ある時、孫悟空がちょうど人前で腕前を披露しているのを見た老師は、すぐさま彼を説教した。

「悟空、わしは多くは言わぬが、お前は多くを学んで、現在の腕前は格段の進歩を遂げた。
だがこれだけは言っておく。人前で自らの実力をひけらかさないことだ。
さあ、お前はこれからどこへでも行くがよい!」

「えっ! 行けと言うのですか?」
「そうだ、よいか、これからどこへ行っても、お前の実力を笠に着て騒いではいけない。わかったか?」

「はい、師匠、絶対にふざけません」
「では、どこへなりと行くがよい。」

孫悟空は、師匠と別れることになり、心中はとても悲しかったが、一度言った事は絶対曲げないと言う
師匠の性格を知っていたので、涙を浮かべて師匠に別れを告げた。

そして歩いて霊台方寸山を降り、身をひねって筋斗雲に飛び乗り、花果山に戻った。
水簾洞に入ると、猿たちは大王が帰ってきたことを知り、大喜びだった。