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【第五課 第一節】   小説読解


  「雪国」  川端康成    


穿过县界长长的隧道,便是雪国。
夜空下一片白茫茫。
火车在信号所前停了下来。

一位姑娘从对面座位上站起身子,把岛村座位前的玻璃窗打开。
一股冷空气卷袭进来。
姑娘将身子探出窗外,仿佛向远方呼唤似地喊道:
“站长先生,站长先生!”

一个把围巾缠到鼻子上、帽耳聋拉在耳朵边的男子,
手拎提灯,踏着雪缓步走了过来。
岛村心想:已经这么冷了吗?

他向窗外望去,只见铁路人员当作临时宿舍的木板房,
星星点点地散落在山脚下,给人一种冷寂的感觉。
那边的白雪,早已被黑暗吞噬了。

“站长先生,是我。您好啊!”
“哟,这不是叶子姑娘吗!回家呀?又是大冷天了。”

“听说我弟弟到这里来工作,我要谢谢您的照顾。”
“在这种地方,早晚会寂寞得难受的。年纪轻轻,怪可怜的!”

“他还是个孩子,请站长先生常指点他,拜托您了。”
“行啊。他干得很带劲,往后会忙起来的。
去年也下了大雪,常常闹雪崩,火车一抛锚,村里人就忙着给旅客送水送饭。”

“站长先生好像穿得很多,我弟弟来信说,他还没穿西服背心呢。”
“我都穿四件啦!小伙子们遇上大冷天就一个劲儿地喝酒,现在一个个都得了感冒,
东歪西倒地躺在那儿啦。”

站长向宿舍那边晃了晃手上的提灯。
“我弟弟也喝酒了吗?”
“这倒没有。”
“站长先生这就回家了?”
“我受了伤,每天都去看医生。”
“啊,这可太糟糕了。”

和服上罩着外套的站长,在大冷天里,仿佛想赶快结束闲谈似地转过身来说:
“好吧,路上请多保重。”

“站长先生,我弟弟还没出来吗?”
叶子用目光在雪地上搜索,“请您多多照顾我弟弟,拜托啦。”
她的话声优美而又近乎悲戚。
那嘹亮的声音久久地在雪夜里回荡。

火车开动了,她还没把上身从窗口缩回来。
一直等火车追上走在铁路边上的站长,她又喊道:
“站长先生,请您告诉我弟弟,叫他下次休假时回家一趟!”

“行啊!” 站长大声答应。
叶子关上车窗,用双手捂住冻红了的脸颊。



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【注 釈】

雪国】 ゆきぐに

川端康成作。1935~47年、諸誌に分載。
雪深い温泉宿を舞台に、無為な主人公をめぐる芸者と美少女の心理模様を、繊細で抒情的な筆致で描く。

雪国(1935年)是日本作家川端康成创作的第一部中篇小说,也是他的最高代表作。
作品中唯美的意象描写融入至人物情感的表达之中,往往带着淡淡的哀思,表现了川端康成的物哀思想。



川端康成】 かわばたやすなり (1899~1972)

小説家。大阪市生れ。東大卒。横光利一らと新感覚派運動を展開。
やがて独自の美的世界を築く。著作 「伊豆の踊子」 「雪国」 「千羽鶴」 「山の音」など。
1968年、ノーベル文学賞を受ける。1972年、自殺。

川端康成(1899-1972)日本作家。上大学(先学英文后转国文)时,1921年发表短篇小说「招魂祭一景」显示才华。
毕业后专事写作,著有长篇小说和百余篇中、短篇小说,成名作是1926年出版的中篇小说「伊豆舞女」。
曾获得日本、法国、德意志联邦共和国有关的文学奖。
1968年因「雪国」、「千只鹤」、「古都」三部小说获诺贝尔文学奖。1972年4月16日用煤气自杀。



便是雪国】 biàn shì xuě guó まさしく雪国だった。「便」() は 強調を表す副詞。
帽耳聋】 mào ěr long 防寒帽の耳あて部分。

木板房】 mù bǎn fáng  駅員の休養にあてる粗造の官舎。
吞噬】 tūn shì 丸飲みにする。

送水送饭】 sòng shuǐ sòng fàn 炊き出し。
火事・洪水など非常の場合に、被災者や現場の人に飯を炊いて供すること。

这倒没有】 zhè dào méi yǒu ところがそうではない。
」は意外を表す副詞。(用例) 妹妹倒比姐姐高。(妹のほうが姉より背が高いとは)


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【口語訳】


「雪国」     川端康成


県境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
夜空の下、見渡すかぎり真っ白である。

列車は信号所の前に止まった。
ひとりの娘が向かいの席から立ち上がり、島村の前のガラス窓を開けた。
ひとすじの冷たい空気が一気に流れ込んで来た。

娘は窓の外に身を乗り出して、あたかも遠方に呼びかけるように叫んだ:
「駅長さあん、駅長さあん!」

ひとりの男が手に明かりをさげて、雪を踏みながらゆっくりと歩いてきた。
彼はマフラーを鼻に巻きつけ、耳のあたりに帽子の耳あてを垂れていた。

島村は心の中で考えた: もうそんなに寒くなったのか?

ふと窓の外を眺めると、駅員たちが寄宿舎としているバラック小屋が、
山すそに点々と散らばっていて、ひっそりとした寂しさを醸し出している。
そのあたりの雪は、すでに闇の中に飲み込まれていた。

「駅長さん、私です。こんにちは!」
「これは葉子さんじゃないか! 家に帰るのかい? また寒くなったね。」

「私の弟がここで働いていると聞きましたの、それでぜひお礼を申し上げたくて。」
「こんなところでは、いずれ寂しくてたまらんだろうに。年も若いし、気の毒だの!」

「彼はまだ子供ですから、駅長さんに何かとご指導をいただくよう、よろしくお願いしますわ。」

「よろしい。彼は元気にやっているよ、これから忙しくなるだろう。
去年も大雪で、しょっちゅう雪崩があってね。列車が立ち往生すると、
村中が急いで旅客に炊き出しを配ったりする。」

「駅長さんはずいぶん厚着ですのね、私の弟の手紙には、まだチョッキも着ていないとありましたわ。」

「もう四枚重ねで着ているよ! 若い者たちは寒い日にもっぱら酒を飲んでいてね、
今はみんな風邪をひいてしまって、それであそこにへたりこんでいるのさ。」
駅長は宿舎に向って手にした明かりを揺り動かした。

「私の弟もお酒を飲みましたの?」
「それが飲んでおらんのだよ。」

「駅長さんはこれから家にお帰りですの?」
「ケガをしてしまってね、毎日医者通いだよ。」
「まあ、それはいけませんわ。」

和服の上に外套をはおっていた駅長は、寒い中で早々と世間話にケリをつけたいと考えたのか、
体の向きを変えて言った: 「それじゃ、道中お体をお大事に。」

「駅長さん、私の弟はまだ出て来ておりませんの?」 葉子は視線をぐるりと雪の上に走らせた。
「どうぞ弟にご配慮ください、よろしくお願いいたします。」

彼女の声音は美しくも哀愁を帯びていた。
その澄んだ響く声はしばしのあいだ雪夜の中にこだました。

列車は走りだしたが、彼女はまだ上半身を窓から引き入れなかった。
それから列車が線路上の駅長に追いつくのを待って、彼女は再び叫んだ:
「駅長さあん、弟に言ってやって下さい、次の休暇には家に帰るように!」

「わかったよ!」 駅長は大声で返事をした。
葉子は列車の窓を閉めて、こごえて赤くなった頬に両手をしっかりとあてた。