3月13日 エルツ城 (Burg Eltz) |
西洋中世の城は、敵の攻撃をはね返すための要塞だった。
建物はぶ厚い石壁で築かれ、一、二階には窓すらない。
領主が住んだのは、上の階だが、窓があっても非常に小さい。
窓ガラスはない。投石器で攻撃されたらひとたまりもないからだ。
窓には頑丈な板戸が取り付けられていた。
通風や採光は、その板戸を開け閉めすることで行われていた。
だがそれだと冬場は寒くてたまらない。
暖炉は、あるにはあったが、石壁に熱をどんどん吸い取られてしまう。
火のそばにいる人以外は、暖炉などあってもなくても同じことだった。
敵から身を守るため、住み心地は犠牲にされていたのである。
ドイツのエルツ城は、神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世が築いた難攻不落の名城である。
モーゼル河の支流、エルツ河沿いに、帝国の戦略拠点として、1157年に建てられた。
ノイシュヴァンシュタイン城・ホーエンツォレルン城と並ぶ、三大美城のひとつである。
(Burg Eltz, Moselvalley, Wierschem, Germany)