4月11日 オリエント急行 (Orient Express) |
三日間のヨーロッパ横断の旅にのぼったオリエント急行は、厳寒の季節には似合わず、いつになく混んでいた。
列車はユーゴスラビアの山中で大雪のため立ち往生し、その鍵のかかった車室で、一人の大富豪アメリカ人が死んだ。
他殺の疑いが濃かった。満身に12カ所もの刺し傷を受けていたのだ。
密室状況の豪華な列車内で起こった奇妙な事件に、乗り合わせた名探偵ポアロが捜査を開始する。
しかし、車輛の乗客には、すべてアリバイが。
(アガサ・クリスティ「オリエント急行殺人事件」より)
ゆったりとしたソファに座って西洋から東洋まで旅をする。「オリエント急行」はそんなぜいたくをかなえてくれる列車である。
ディナーの時間には、着飾った乗客がワインを片手にフランス料理を楽しむ。
ピアノが置かれたラウンジバーには、おすすめカクテルのオリエントエクスプレスが。
まさにレールの上を走るクラシックホテルといった趣の車内。
1883年に運転が始まってから、数多くの億万長者やアガサ・クリスティといった著名人を乗せてきた。
最初の路線は パリ−ミュンヘン−ウィーン−ブダペスト−イスタンブール。
終点のイスタンブールは東洋の神秘に満ちた町として西洋人のあこがれの視線を浴びた。
飛行機を使えば、長い時間列車に乗る必要はないのかもしれない。
しかし、車窓に次々と現れるすばらしい風景と、ゆっくりとした旅時間は、列車でしか味わえないもの。
ゆったりとした気分で、東欧の車窓を楽しんでみてはいかが。
オリエント急行 (Orient Express)
経由駅 : パリ−ストラスブール(フランス)−ミュンヘン(ドイツ)
−ウィーン(オーストリア)−ブダペスト(ハンガリー)−ブカレスト(ルーマニア)
−バルナ(ブルガリア)−イスタンブール(トルコ)
[1883年 − 1918年 バルナ−イスタンブール間(黒海)は汽船を利用]
シンプロン・オリエント急行 (Simplon Orient Express)
経由駅 : パリ−ローザンヌ(スイス)−ミラノ(イタリア)−ザグレブ(クロアチア)
−ベオグラード(セルビア)−ソフィア(ブルガリア)−イスタンブール(トルコ)
[1919年 - 1977年 ローザンヌ−ミラノ間はシンプロン・トンネルを通過]
ベニス・シンプロン・オリエント急行 (Venice Simplon Orient Express)
経由駅 : ロンドン− パリ − インスブルック(オーストリア)− ベニス(イタリア)
[1982年 - 現在 ロンドン−パリ間(ドーバー海峡)は汽船を利用していたが、
1994年に海底トンネルが開通した]