地球の生物の歴史は、約五億年前、海中に多くの生物が出現したカンブリア紀に始まるとされる。
このカンブリア紀からオルドビス紀にかけて特記される海の王者は、貝類と同じ軟体動物の
頭足類に属するオウムガイだった。
頭足類といえばイカやタコの仲間だ。イカの足は10本、タコの足は8本、
オウムガイの場合は、60〜80本という細い触手が口を取り囲んでいた。
当時のオウムガイは、まっすぐな円錐状のような殻をもち、殻をかぶった
イカのようにジェット水流を噴出しながら素早く移動することが出来た。
始生代 | 46億年前 | ||
原生代 | 25億年前 | ||
古生代 | カンブリア紀 | 5億4000万 | |
オルドビス紀 | 4億8000万 | ||
シルル紀 | 4億4000万 | ||
デボン紀 | 4億2000万 | ||
石炭紀 | 3億6000万 | ||
二畳紀 | 3億年前 | ||
中生代 | 三畳紀 | 2億5000万 | |
ジュラ紀 | 2億年前 | ||
白亜紀 | 1億4000万 | ||
新生代 | 第三紀 | 暁新世 | 6600万 |
始新世 | 5600万 | ||
漸新生 | 3400万 | ||
中新世 | 2300万 | ||
鮮新世 | 530万 | ||
第四紀 | 洪積世 | 250万 | |
沖積世 | 1万2000 |
鋭い目をもったオウムガイの餌となったのは主として三葉虫で、オウムガイは
触手を使って捕らえ、鋭い歯で食いちぎった。
こうしてオウムガイの天下がしばらく続いたが、オルドビス紀末の生物大量絶滅で衰え、
シルル紀になると、ゆるく巻いた巻貝状の殻のオウムガイが増加した。
魚類が制海権を獲得したデボン紀以降は、オウムガイから分かれたアンモナイトが栄えるようになった。
アンモナイトの全盛期は中生代で、その種類は一万種以上にのぼったが、円錐型のオウムガイは
約二億年前にその姿を消してしまった。
だが、巻貝状のオウムガイの子孫は、現在、赤道直下の南太平洋パラオ諸島周辺のサンゴ礁に
生息していて、生きている化石と呼ばれている。
オウムガイ(Nautilus)頭足類オウムガイ科 殻長20センチ。
水深100〜400m付近の海底近くに棲み、肉食性で、海底近くを遊泳しながら甲殻類などを食べる。
生息地は、パラオ諸島、フィリピンなど。